NETWORLD+INTEROP 2000 TOKYO 開幕
広帯域/ワイヤレス/セキュリティの各分野で注目製品

2000/6/8

 ネットワーク分野では最大規模のイベントとなるNETWORLD+INTEROP 2000 TOKYO(N+I)が、千葉の幕張メッセで開幕した。ネットワーク製品を扱う関連各社が一同に会したこの展示会は、来場者にとって今年のネットワーク分野のトレンドを見るには絶好の機会である。標準化が終わり製品が出始めたばかりの1000BASE-Tなどの広帯域製品、無線LANやiモード/WAPなどのワイヤレスアクセス製品、セキュリティ製品など、各分野で注目の製品が登場している。そしてN+Iと別会場に併設される形で、近年注目を浴びているASP(Application Service Provider)のセミナーや展示会を行う「ASP Summit Tokyo Spring」も開催されている。展示会の会期は6月7日(水)〜6月9日(金)までの3日間となっている(カンファレンスの会期は6月5日〜6月9日)。

 今回のN+Iの特徴として、「広帯域/バックボーン」「ワイヤレスアクセス」「セキュリティ」の大きく3つのキーワードが挙げられる。会場では、これら各分野の新製品やサービスが登場し、来場者へのアピールを行っている姿があちこちで見られた。

 「広帯域/バックボーン」の分野では、エクストリームネットワーク、シスコ、ファウンドリーネットワークスといったバックボーン向けの製品を提供するベンダーをはじめ、標準化が完了した1000BASE-Tのギガビットイーサネット対応製品が多くのブースで見られた。光ファイバを使用する従来までの1000BASE-SX/LXでは、配線コスト等の問題で、ギガビットイーサネットの本格的な普及には今一歩、力足らずなところがあった。既存の銅線を使ったUTPがそのまま使用できる1000BASE-Tは、ギガビットイーサネットの本命として、今後の普及にはずみをつけることになるだろう。ただ各社とも、近年ではバックボーン向けのソリューションとして、ギガビットイーサネットのポートを搭載したスイッチだけを紹介したような展示は減ってきている。ハードウェアによる高速なルーティング機能を加えたレイヤ3スイッチ(3層スイッチ)はもちろんのこと、最近では、ネットワークの混雑状況を把握して負荷分散を行うロードバランサーや、インテルのブースで展示されていたように7層(HTTP)のデータ(URL情報)を判断してサーバーへの振り分けを自動的に行う「Intel NetStructure e-Commerce Director」のような装置が登場しており、3層以上のパケット情報を判断してネットワークの負荷を軽減するような装置がトレンドの1つとなっているといえる。

インテルのNetStructureシリーズは、Webデータのキャッシング、ロードバランシング、SSL処理の高速化といった処理をハードウェアで行い、ネットワークを高速化する装置。参考出品ながら、XMLの処理を高速化する「XML Director」が展示されていた。 MAN(Metropollitan Area Network)という、都市などのLANより大規模なエリアを、光ファイバによる高速なイーサネット接続でISP同士を接続し、ネットワーク化するソリューションの参考展示。日本ではまだなじみが薄い言葉だが、米国等ではすでに構築実績がある。


 「ワイヤレスアクセス」の分野では、日本でもすでに各社から新製品が登場している11Mbps無線LAN、Bluetooth、iモードやWAPによる携帯からインターネットへのアクセスに関する展示が来場者の注目を集めていた。今年夏にデビュー予定のBluetoothは、東芝やエリクソンなどのブースで対応製品が参考出品されていたが、Bluetoothを搭載した日本市場向け携帯端末の登場は今年末以降になるため、PC同士や一部の周辺機器をリンクするための装置が登場するにとどまることが予想される。携帯関連ではほかに、会場内に「TechSpots@Interop」という携帯+インターネットアクセスを専門に扱ったコーナーが用意され、各社がインターネットやイントラネットの情報を携帯向けに変換するゲートウェイ製品の展示を行っていた。またこのコーナーでは、一般向けでは初めてとなるNTTドコモの各社のiモード端末にJavaを搭載した機器が参考出品されており、3目並べゲームやキャラクターの簡単なアニメーションを見るなど、3種類のアプリだけながら実際に操作ができるようになっている。

エリクソンブースのBluetooth製品の参考展示。ヘッドセットマイクやキーボードが用意されているのがわかる。日本での実際の製品の登場は、まだ先とのことだ。 現行のiモード端末の筐体はそのままに、Javaを搭載した端末の参考展示。種類は少ないが、Javaで動作するアプリケーションを実際に操作することができる。


 「セキュリティ」関連の展示では、シングルサインオンなどのPKI関係の製品からウィルスチェックまで幅広く登場した。シマンテックでは、メリッサなどの感染力の強いウィルスが企業内のネットワークに侵入すると13時間以内に99%のPCに感染する様子を画面上でシミュレート、最近の感染力の強いウィルスに対しての対策を訴えていた。トレンドマイクロでは、企業全体のウィルス対策をコンサルティングするeドクターをアピール。両社ともウィルス対策は個別のマシンごとでは間に合わず、サーバーやネットワークも含めた全体で対応する必要があることが前提であるとした。PKIはようやく注目のキーワードになってきた感がある。ネットマークスではシアターで同社のバイオメトリクスとPKIの組み合わせの利点を紹介。筆跡や顔面パターン、指紋など本人に依存した認証を行うことで、ASPやISPが確実に本人にのみサービスを提供する基盤として利用できるという。

(編集局 鈴木淳也+新野淳一)

[関連リンク]
NETWORLD+INTEROPの総合ページ

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)