ノベルがLinux対応NDSを出荷

2000/6/14

 ノベルは13日、NDS eDirectoryのLinux対応版を7月31日より出荷開始すると発表した。Linux対応版は、NetWareやWindows 2000、Solarisなど他のOS対応版と同様、NDS eDirectoryのパッケージに同梱される。

 eDirectoryは、従来NetWareの中に組み込まれていたディレクトリ管理機能を分離し、OSから独立させたもの。今回Linuxに対応したことで、一般的なサーバOSへの対応がほぼ終了したといえる。WindowsやLinux、Solarisなどクロスプラットフォームでのネットワーク構築の際に、NDSを利用して統合されたネットワーク管理が可能になる。

 また、Linuxでディレクトリサービスが利用可能になったことで、Linuxでエンタープライズ規模のネットワーク管理を実装できるようになった点は、Linuxを推進しようとしているベンダーにとって追い風といえる。

 さらに、同社はNDSの新しい機能として「Novell Modular Authentication Service」(NMAS)を発表した。これは、NDS上での認証方法として、従来のユーザー名とパスワードだけでなく、ICカードや指紋、音声、顔面パターン、網膜などのバイオメトリクスによる認証も可能にするもの。ユーザー名とパスワード、にさらにICカードや指紋などを組み合わせて強力な認証機能を提供できるとともに、利用形態にあわせて、ICカードのみ、パスワードと指紋など、任意の方法での認証を可能にする。

 同社はPC中心のネットワークは過去のものだとし、今後は携帯電話やネットアプライアンスなど、あらゆるデバイスがネットワークに接続され、その重要度を増していくだろうとしている。そうしたネットワークの利用形態では、バイオメトリクスやICカードなど柔軟な認証機能の提供は不可欠だ。さらに、シングルサインオンだけでなく、公開鍵との連係によるPKIの構築など、ディレクトリサービスはさまざまな利用形態に組み込まれることが予想されている。NMASではそうしたPKIベンダーなどとの連係も考慮されており、開発キットによって認証機能などをベンダーが組み込めるようになっているという。

 NMASの発表そのものは、直接エンドユーザーに大きなインパクトを与えるものではない。しかし、PC中心のネットワークからの移行や、他ベンダーとの連係による認証機能など、NMASは、ノベルが新しいネットワークの利用法に対応し、OSベンダーからネットワークサービスベンダーへと転換できるかどうかという、戦略的に重要な意味をもつものといえる。

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ノベル、NDSのLinux対応版を出荷開始
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