付加価値のあるデータウェアハウスがトレンドに

2000/7/12


データウェアハウスの父といわれるビル・インモン氏はSASインスティチュートのブースで講演した

 東京ビッグサイトで開催されている「第5回 データウェアハウスEXPO」では、大量に、高速にというスケールを追求するデータウェアハウスがより進化し、複雑な付加価値を指向した姿が目についた。

 いままでのデータウェアハウスはおもに、部門ごとや用途ごとに分散していたデータを一カ所に集め、それを分析することで優良顧客や製品の販売傾向などを割り出し、ダイレクトメールなどのイベントや営業活動の参考にするというものだった。

 こうした大量データの分析は、いまでもデータウェアハウスの主流だ。しかし新たなトレンドとして、こうしたデータ分析にビジネスロジックを応用してアクションまで自動化させたり、コールセンターやeコマースと連係させたものが登場している。

NCRは顧客のアクションを追跡

 NCRの「リレーションシップ・オプティマイザ」では、データウェアハウスの周囲で「アナリシスマネージャ」「イベントマネージャ」「コミュニケーションマネージャ」「インタラクションマネージャ」の4つのアプリケーションが連係する。最大の特徴はイベントマネージャだ。

 イベントマネージャはグラフィカルインターフェイスでビジネスロジックを定義可能。例えば、自然食品を販売するメーカーが、「1カ月以内に自然食品ホームページへアクセスしてきて、1週間以内に試供品を申し込んだ女性の顧客に、電子メールを発送する」というロジックを定義しておけば、データウェアハウス上で顧客の動きをつねにフォローし、該当する顧客が発生し次第、自動的にメールを発送する。電子メールを発送するのは、コミュニケーションマネージャだ。

 あるいは「試供品を請求し、実際に購買に結びついた顧客にはコールセンターから電話をかけて感想をたずねる」というビジネスロジックを組んでおけば、これも顧客の動きをつねにイベントマネージャがフォロー、該当顧客が発生した時点で、コールセンターのコールリストに顧客の電話番号をセットする。すべての情報をつねにデータウェアハウスで管理するために、支店からの情報、ダイレクトメールの返事、コールセンター、ATMといったチャネルを統合して、データをデータウェアハウスに格納する機能を備えるのがインタラクションマネージャだ。

 NCRの担当者は「いままでのダイレクトメールや営業からのアクションは、期間と対象が会社の都合で先に決まっていた、リレーションシップ・オプティマイザなら顧客のアクションに対応したアクションをとれるためずっと効率がよい」と話す。

eコマースにフォーカスするインフォミックス

 「データベースカンパニーからWebインフラストラクチャカンパニーへ変わります」と宣言したインフォミックスは、eコマースにフォーカスしたラインナップを揃えた。データウェアハウス専用に設計されたRedbrick Warehouse V6では、eコマースでのバックエンドに利用されることを想定した機能を搭載。informix i.Sellでは、eコマースサイトを構築するためのデータベース、アプリケーションサーバ、分析ツールなどひと揃いが用意されている。

 そのRedbrick Warehouseをはじめ、EssbaseやTimeCubeなどさまざまなデータウェアハウス製品を扱うビーコンITでは、EIP(Enterprise Information Portal)のデモを紹介した。複数のデータウェアハウスからのデータを、Waha! Transformerで1つに統合し、さまざまなBIツールから参照可能にする。さらに、顧客分析、経営分析、販売分析のためのテンプレートを用意し、通常は試行錯誤などを繰り返す分析結果が容易に取得可能で、それらをWebブラウザから役職に応じた切り口で参照できるようなシステムを提案した。

XMLを強調したマイクロソフト


SQL Server 2000を紹介するマイクロソフトブース

 CRMやERP、BIといったキーワードがあふれる会場の中で、ひとりXMLを強調したのがマイクロソフト。今年の秋に登場予定のSQL Server 2000を紹介した。データセンターサーバ上では、最大32CPU、64GBメモリに対応するとしたが、最大の特徴はXMLに対応したこと。WebサーバのInternet Information Serverと組み合わせると、URLに直接検索文を記述し、結果を、XML形式で得ることが可能。そのままスタイルシートと組み合わせて、テーブルやレポートなど柔軟な形式での出力ができると強調した。

 データウェアハウスEXPOは東京ビッグサイトで14日まで開催。

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