マイクロソフトがPocket PC日本語版を発表

2000/7/14

マイクロソフト 製品マーケティング本部担当取締役 東貴彦氏。「Pocket PCは、マイクロソフトのモバイル市場に対する取り組みの第一歩」と、PDA市場再挑戦への意欲を強調

 マイクロソフトは7月13日、都内のホテルにて「Microsoft Windows Powered Pocket PC」日本語版(以下Pocket PC)のOEM供給開始を発表した。

 Pocket PCは、従来「Palm-size PC」と呼ばれていた手のひらサイズのPDAで、OSとしてMicrosoft Windows CE 3.0を搭載(従来のPalm-size PCではWindows CE 2.11だった)。OSそのものの機能向上に加え、付属アプリケーションの強化やユーザーインターフェイスの改良が行われている。

 OSがWindows CE 3.0ベースになったことでマルチタスク機能が強化されたほか、340MBまでの拡張メモリをサポート。最大6万5000色のカラー表示やCompact Flash、PCカード、MMCによる機能拡張も可能。

 アプリケーションは、これまでPalm-size PCにはなく、Handheld PCのみに搭載されていたPocket Internet ExplorerやPocket Word、Pocket Excelが追加された。また、PC版-Windows CE版間のファイルコンバートをPocket PC上で行うようになったため、メールに添付されたWord/Excelファイルを直接開くことができる(従来バージョンはActiveSyncによるファイル転送時に変換)。Pocket Outlookも改良されており、「最近使ったアイテム」で頻繁に使う連絡先にすばやくアクセスできるほか、検索機能により大量のデータも扱いやすくなっている。Windows Media PlayerはWMAおよびMP3ファイルの再生をサポートする。PCとの同期を行うActiveSyncも3.1にマイナーバージョンアップ。USBポートにより、シリアル接続よりも高速な同期が可能だ。

米マイクロソフト ビジネスプロダクティビティグループ担当グループ副社長ボブ・マグリア氏。「Pocket PCでは、ゲームや音楽などが楽しめることも重視しているが、企業できちんと使えるものでなければならない」と語った

 ユーザーインターフェイスは大幅に変更されている。「ユーザーはWindowsと同じインターフェイスを望んでいなかった」(マイクロソフト モバイルデバイス開発統括部 統括部長 間中信一氏)と率直に認め、[スタート]メニューを画面左上に配置。カスケードメニューの廃止や平面的なボタンの採用により、狭い画面での使い勝手向上やハードウェアへの負荷低減が行われている。ダブルタップからシングルタップへの変更、タップ&ホールド(タップ後、しばらくスタイラスをパネルから離さない)によるショートカットメニュー表示など、操作性も向上した。

 同社は、競合製品に対するPocket PCのアドバンテージとして、企業システムとの親和性やセキュリティ機能、多様な拡張性、ワイヤレスインターネットアクセスへの対応などを強調。ビジネスおよびコンシューマの両面で最適なソリューションであるとしている。ちなみに、詳細は不明ながら、SQL Server 2000のCE版「Microsoft SQL Server 2000 Windows CE Edition」にも言及。SQL Server 2000と接続してトランザクション処理用のコンポーネントであり、近い将来に出荷する予定だという。

 7月13日の発表当日、Pocket PCの発売を表明したのはカシオ計算機とヒューレット・パッカードの2社のみであった。

 カシオ計算機の常務取締役コンシューマ事業部長 鈴木洋三氏は、コンシューマ市場とビジネス市場それぞれに製品を用意すると表明。コンシューマモデルは薄型でSDカードとMMCスロットを搭載。ビジネスモデルは防水、耐衝撃性を重視し、Compact Flashを2スロット装備する予定としている。

 ヒューレット・パッカードのアジアパシフィック パーソナルコンピュータディビジョン ジェネラルマネージャ コックーン・リム氏は日本市場を重視していると強調。PDAはコンシューマ用途とビジネス用途の境界があいまいになってきており、1つで両方に対応できることが重要だと語った。

 両社の製品発売は2000年9月以降で、価格やスペックなどは未定。

発表会場に参考展示された、ヒューレット・パッカードの試作モデル。製品版がどのようなスペックになるかは未定
カシオ計算機のPocket PCサンプルモデル。ユーザーインターフェイスが平面的なデザインに変更されたのがわかる
NTT DoCoMoのP-in Compactを装着したワイヤレスインターネットアクセスのデモ。OSはPocket PC日本語版(ハードウェアはデモ用のためPalm-size PCを流用)
折りたたみ式キーボードの試作品も展示されていた

[関連リンク]
マイクロソフトに掲載のPocket PC製品情報

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