[SAPPHIRE 2000 TOKYO]
講演も、展示会場も「mySAP.com」一色

2000/7/19

基調講演で登壇した、BPRの権威として知られるマイケル・ハマー氏

 ERPアプリケーションベンダー最大手SAPジャパンのプライベートショー「SAPPHIRE 2000 TOKYO」が7月18日、東京国際フォーラムにて開幕した。

 今回の主役は何といってもmySAP.comだ。これは、Web対応を果たした同社のERPアプリケーション R/3をベースとするe-businessソリューションの総称。独SAP社 会長兼CEO ハッソ・プラットナー氏は、ビデオで基調講演に登場した。

「インターネットによるビジネス・アプリケーションの提供であるmySAP.comによって、SAPはネットワークド・エコノミーへと踏み出した。我々にとって非常に重要な戦略だ。我々の顧客は場所を問わず、すべてのサービスが受けられる。モバイルテクノロジーが発達している日本にとって、mySAP.comは特に重要な意味を持つと確信している」

 同社はmySAP.comの名の下に、ワークプレイス、ビジネスシナリオ、マーケットプレイスなど、さまざまなソリューションを提供する。ワークプレイスは企業の従業員向けに提供されるパーソナライズされたアプリケーションポータル、ビジネスシナリオは企業間売買、CRM、情報およびデータ交換アプリケーションなどといった分野でのe-business機能を提供する。一方、マーケットプレイスは、SAPユーザーや同社のパートナー企業が展開するビジネスの“場”だ。たとえば、系列を越えた部品メーカー間での在庫共有、B2Bでの製品オークションなどのポータルサイトを提供する。このソリューションを実現するため、SAPグループはこの6月、米国のECソリューション・ベンダーCommerce One Inc.と戦略的なパートナー契約を締結している。

 基調講演には、Business Process Re-engneering(BPR)の権威と知られる米国のマイケル・ハマー氏も登壇した。同氏は“統合化こそが今日のビジネスの成功の鍵である”と語り、ERPアプリケーションが企業の部門間統合に果たした役割を、米国の食品メーカーやIBMの例を上げながら説明。

「ERPアプリケーションによって、企業内の壁は取り払われた。残るは企業間の壁。これを打ち破るのがインターネットだ。インターネットによるアプリケーション統合によって、顧客満足にすべての基本を置き、パフォーマンスを向上させ、企業間統合を果たした企業こそが次の10年の勝者となる」

 エキシビション会場でも、mySAP.comを活用した具体的なソリューション事例が数多く示されていた。

 モバイル・ワークプレイスコーナーでは、iモードを利用した購買承認ワークフローをデモ。企業内で発生した購買申請を承認担当者が携帯電話で受け取り、そこで決裁された内容がまたiモードで社内システムに送られるというものだったが、これはSAPのインターネット対応ミドルウェアInternet Transaction Server(ITS)、ビジネスAPI、XMLベースのフローファイルといった技術で実現される。

 一方、日本交通公社(以下、JTB)は同社の実績ある出張管理コンテンツをmySAP.comワークプレイスと統合、企業向けの出張管理ソリューションを展示していた。JTBの統合出張管理システムJ's NAVIを中心に構築したもの、mySAP.comの出張管理コンポーネントにJTBの総合電子時刻表DIA-NAVIを組み込んだものなど、ソリューションはいくつかあって導入企業に選択肢を提供する。

 概念ではなく、素材としての製品ではなく、実際に動き出しているソリューション事例がこの目で見られるという点で、来場者に訴えかけるエキシビションとなっていた。

Windows CEかかSAP R/3を利用するアプリケーションが秋頃登場予定。PC上でGUIによるデータ設計やフローを定義することで、カスタマイズする 意外にもマイクロソフトも出展。実際には日立、HP、コンパックなどのパートナーが自社IAサーバをプレゼンする「マイクロソフトパートナーブース」だった

サン・マイクロシステムズはエンタープライズサーバをSAP R/3のプラットフォームに売り込む。本日発表のSun Rayも展示 ユニシスはWindows 2000 Datacenter Server対応のハイアベイラビリティサーバ、ES7000をプラットフォームとしてプッシュ

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