渋谷ではオープンソースのサミット開催

2000/7/22

 沖縄でのサミット開催に合わせて、渋谷では「オープンソースサミット」が開催された。オープンソースにかかわるコミュニティ、ディストリビューションベンダー、ソフトウェアベンダー、ハードウェアベンダーなどの代表者が集まり、講演とパネルディスカッションが行われた。

 「Linuxディストリビュータのビジネスモデルとオープンソースへの取り組み」と題されたパネルディスカッションでは、ターボリナックス、レーザーファイブ、ミラクルリナックス、オモイカネの各ディストリビューションベンダーから代表が登場。

ディストリビューションベンダーのパネルディスカッションのようす。右から、レーザーファイブの岡野正美氏、ターボリナックスの小玉博和氏、オモイカネの大熊但由氏、ミラクルリナックスの池田秀一氏。いちばん左はモデレータの吉岡弘隆氏

 ミラクルリナックスの池田秀一氏が「ディストリビューションパッケージにきちんとした値段を付け、それに対して責任を果たしていくことが大事。ミラクルリナックスは最後まで責任をとることで値段に見合ったサービスを提供する」と言えば、ターボリナックスの小玉博和氏が「まずはインストールベースを広げ、市場のパイを大きくする。そうすればアプリケーションなどももっと登場するはず」と発言。

 オモイカネの大熊但由氏は「オープンソースのソフトウェアの値段は、パッケージの中のマニュアルなどの付加価値とサービス、そしてブランドの値段。弊社は後発で参入するためパッケージはやらず、サービスだけに値段を付ける戦略。しかしサービスだけで売るのは難しい」。レーザーファイブの岡野正美氏も「サービスの充実がディストリビューションパッケージの価格に反映される」など、どのディストリビューションベンダーでも、アフターサポートなどサービスの提供が大きな鍵を握ることを指摘した。

NECの川井俊弥氏(左)とIBMの中原道紀氏(右)

 また、ハードウェアベンダーの代表として、NECの川井俊弥氏とIBMの中原道紀氏が登場したパネルディスカッションでは、なぜNECやIBMは自社製のプロプラエタリなOSではなくLinuxのようなソフトウェアを苦労して推進しているかとの問いに、「インターネットとオープンソースの流れは止められない、だからLinuxはやらなければならない」(IBM中原氏)、「いまLinuxをやらなければ将来がないという危機感すら感じる。また、広がっているマーケットに対してソリューションを提供するという意味もある」(NEC川井氏)と、オープンソースの勢いが企業として全く無視できないものだということを強調した。

 しかし両氏とも「まだこの程度のマーケットでは大手のハードウェアメーカーとしては困る」(NEC川井氏)と、マーケットにもっと広く受け入れられるようにならなければ、Linuxは一過性のブームとして終わってしまうかもしれないという懸念も表明。「安心感。Linuxはビジネスに使っても大丈夫なんだという安心感が必要」(IBM中原氏)、「ビジネスを動かしている人にLinuxを分かってほしい」(NEC川井氏)と、今後の課題も示した。

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