SGIが新NUMAアーキテクチャを展開

2000/7/28
(07/25/00, 4:23 p.m ET) By Mark Hachman, TechWeb News

 SGIは7月25日、同社最新のNUMAアーキテクチャをデビューさせた。この「NUMAFlex」アーキテクチャは、すでに発売が開始されている新しい「Origin 3000」シリーズのサーバと「Onyx 3000」ビジュアライゼーションシステムの心臓部となる。NUMAFlexは、これまでのスーパーコンピューティング処理を行うノードをSGIが「ブリック」と呼ぶ単位に分割するもの。家電製品で一般的なラックマウント式のステレオコンポーネントと同じような概念となっていて、購入者は、CPU、I/O、およびグラフィックスのブリックを既存のシステムに追加していくことができる。

 同アーキテクチャでは、購入者が自分の具体的なニーズに合わせて仕様や機能を組み合わせることができるようになる。

 カリフォルニア州マウンテンビューにあるSGIで先端システムマーケティングのディレクターを務めるBen Passarelli氏は、「PCIアダプタを導入するようなときに、すべてをPCI-Xで揃えられたらいいと思わないだろうか?われわれのシステムを購入すれば絶対後悔しない」と話している。

 同アーキテクチャは市販のもので最大512基のマイクロプロセッサまでスケーリング可能となっており、Passarelli氏によると、SGIではこれを最大2048基にまで拡張したいと考えているという。

 基本となる3200システムには、CPUブリックである「Cブリック」と、I/Oブリックである「Iブリック」が含まれている。Cブリックは400MHzのR12000 MIPSマイクロプロセッサと512MバイトのRAMを装備しており、Iブリックは2台のFibre Channelベースディスクドライブ、DVD-ROM、そして5基のPCIスロットを装備している(デフォルトのOriginおよびOnyxの両3200システムには、Cブリック1つあたり2基のCPUが搭載されて最大8CPUまでスケーリング可能となっており、16 Gバイトのメモリ、そして17基のI/Oスロットが装備されている)。同システムのエントリーレベルの価格は5万ドルで、これにはシステムコントローラとハーフラックケースが付属する。

 さらに、3400モデルは最大32CPUまでスケーリングし、64Gバイトのメモリと88基のI/Oスロットを装備している。SGIによると、ハイエンドの3800は最大512基のCPU、1テラバイトのメモリ、1528基のI/Oスロット、そしてペタバイトのストレージが実現可能だという。

 また、2つのCブリックを組み合わせて8ウェイシステムを構成することもできる。Passarelli氏によると、ItaniumベースのCブリックのほか、Intelの次世代64ビットプロセッサであるMcKinley用のプロセッサもデザインされているという。情報筋は、McKinleyではインフラに別のコネクタが必要になるというが、SGIのモジュラーアーキテクチャならば、システムを廃棄して最初からやり直しになるということはないだろう。同じようなR14000やR16000のアップグレードも計画されているほか、将来的にはデュアルコアのMIPSプロセッサも登場する。

 ほかに追加されるものとしては、最大12基のPCIスロットをサポートするPCIブリックの「Pブリック」、そしてSGIの「Infinite Reality Graphics Engine」を搭載するグラフィックスブリックである「Gブリック」などがある。

 ディスクブリックやルータブリックも追加することができる。SGIではMIPSベースのNUMAマシンにIRIXオペレーティングシステムを採用し、まもなく登場するItaniumベースモジュールではLinuxを採用する。

 Passarelli氏によると、これらのマシンはNASAの航空海事技術衛星研究所や米国陸軍といったカスタマーだけでなく、リアルタイムデータの分析に関心を持つ大企業もターゲットにしているという。

 「大容量メモリ(を搭載したシステム)でのみ可能な非常に困難な分野を狙っている」(Passarelli氏)

 SGIが成功するためにモジュラーアーキテクチャを必要とするのは、カスタマーが新機種を待つ中で自社の売上が落ち込んでいることにも要因がある。SGIでは、この新アーキテクチャで1億ドルの受注残を報告している。

 SGIは24日、2000年度の第4四半期に1株あたり3ドル27セント(6億800万ドル)という劇的な損失が出ることを予測している。同社は5億3400万ドルの売上高を報告しているが、これはSGIが先日修正した予測の範囲内となっている。

 アナリストも支持を表明している。

 マサチューセッツ州フレイミンガムにあるIDCのリサーチディレクター、Earl Joseph氏は、「IDCは、NUMAFlexと、SGI Origin 3000製品という形でのこれの現行のインプリメンテーションによって、SGIはカスタマーの関心と売上を取り戻すことができるようになると考えている。SGIの製品は、同社のコアとなる技術市場のほか、クリエイティブユーザーの市場でも大きく受け入れられるだろう。さらに、柔軟性、スケーラビリティ、そしてモジュールの特性を考えた場合、これは今後高まるインターネットの作業負荷をサポートしてくれる大きな可能性を秘めた製品だと考えている」と話している。

[英文記事]
SGI Deploys Server, Workstation Architecture

[関連リンク]
米SGI
ワークステーション分野でAGPに対抗するPCI-X (@IT News)
日本SGIがLinux路線へシフト。「OpenGL」実現へ(@IT News)

Copyright(c) 2000 CMP Media Inc. All rights reserved

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)