ソフトウェアの基本に帰るPalm
2000/8/10
(08/07/00, 8:31 p.m ET) By Mark Hachman, TechWeb
News
Palm Inc.は引き続き、ソフトウェアという同社が一番得意とするものに力を入れている。
Palmは、同社最大のライバルであるHandspringが取り組む大衆市場への参入を目指し、さらに手ごろな価格になった「Palm m100」と「Palm VIIx」という、自社製品ラインに対する大幅なアップデート製品2機種を新たにリリースした。
ほかにも、Palm Vxの新しい「スペシャルエディション」2機種や、ついにPalmをPCから解放する周辺機器が発表された。
Visorへの回答が「Palm m100」
新しい「m100」には、デジタルインク「ノートパッド」、時計アプリケーション、そしてユーザーにPalmプラットフォームに慣れてもらうための基本ツールという、3種類の新しいソフトウェアアプリケーションも搭載されている。カリフォルニア州サンタクララのPalmで製品マーケティングマネジャーを務めるTim Twerdahl氏によると、これらはすべて、「Palmが浸透していないユーザーを取り込む」ためにデザインされているという。
アナリストは同製品を、ライバルであるHandspringが大衆市場に対して取ったアプローチへのPalmの回答だと見ている。Handspringは「Springboard」ハードウェア拡張スロットをデザインしており、アナリストによると、ソニーも将来の製品をデビューさせるときには斬新なきょう体を試すのではないかという。
だがPalmの方は、Palm OSのクリエーターとして、後にパートナー各社にライセンスすることになるソフトウェアの革新技術に頼る必要がある。アナリストによると、新たに行われたソフトウェアの強化は、厳密にいえば基本のPalm OSに対するアップグレードであり、Handspringやソニーも将来的にはこれを利用できることになる。
Palmはまた、コンシューマーに異なるカラーのパネルオプションを提供しながらm100に149ドル(Handspringの大衆市場向けライバル製品の「Visor」より約30ドル安い)という手ごろな価格を設定している。
カリフォルニア州マウンテンビューにあるMobile Insightsの社長兼CEO(最高経営責任者)、Gerry Purdy氏は、「Palmの市場シェアは大きいが、HandspringがVisorを発売して互換性を高めながら複雑性を低減したことで、Palmは製品の観点から対抗しなければならなかったのだと思う」と話している。
マニア向けからの脱却をはかる
Twerdahl氏によると、Visorの発売イベントでは、Palmが依然としてマニア向けの流行製品であることに経営陣が気づいたという。
同氏によると、われわれは常に比較的割合の低いユーザー層である「革新的なものや新しいものが好きな人に好んで選ばれてきた」という。
「幅広い購入者層に訴求したかった」(Twerdahl氏)
Palmはそのために、ユーザーを徐々にPalmプラットフォームに慣れさせることが必要だと感じた。Palmが内蔵する「Graffiti」システムは文字の入力を可能にするものの、ユーザーが独自の文字入力方法を学ぶ必要があった。
「デジタルインク」アプリケーションと呼ばれる新しい「Note Pad」ではユーザーが普通に文字を書くことができる。Twerdahl氏によると、オペレーティングシステムはこの入力をテキストには変換しないが、この手書きは電子付箋紙のような形で後から取り出すことができるという。
同様に、「基本操作のチュートリアル」という自動化されたプログラムがあり、連絡先の入力方法やメモの書き方など、Palmオペレーティングシステムのさまざまな機能の使い方をユーザーに教えてくれる。
「これは、“これがPalmのすべてだ”ということを伝えるものだ」(Twerdahl氏)
Palmもついに中身の見えるケースをデザインしており、そこからは熟睡するビジネスマンでも起こしてくれる新しい独特なデジタルチャイムが鳴るようになった新しいバックライト付きの時計が見えるようになっている。
「スケジュールを組む人が“午前8時に起きよう”と考えることがある。でも、だれもが分かっているように、朝ベッドから抜け出すのに普通の時計だけでは間に合わない人もいる」(Twerdahl氏)
スタイルに対して関心の高いコンシューマーに合わせて、Palm m100には今では一般的となった交換式のカラーパネルが付属している。オプションとしては各19ドル95セントの予想市場価格で「Silver Mist」、「Blue Mist」、「Green Mist」、「Pacific Blue」、および「Ruby Pearl」も用意される。
しかし、これらのパネルは基本の黒い背景色の上にはめるようになっているため、会議室に持ち込んで周りから浮いてしまう心配は不要だ。
新しいPalm m100の価格と機能はVisorにねらいを定めたものだが、Handspringの関係者によると、同社のハンドヘルドには、Palmにない機能であるSpringboardスロットによるハードウェアのアップグレード機能があるという。
Handspringのスポークスマンはマウンテンビューにある同社の本社で、「だが、Palmが幅広いコンシューマー市場に参入してくることは、われわれにとって明らかにうれしいことだ」と話している。
しかし、Palmはやや異なる進路を取り、旧機種のハンドヘルドに対し、Palm VIIのワイヤレス機能を本質的に持たせるようなアップグレードを提供している。
8月終わりにリセラーに出荷されるこの「PalmModem Connectivity Kit」は、スナップオン式の33Kbpsモデムと、AOLおおびYahooの電子メール/メッセージングアプリケーションが付属する。
イーサネットクレードルでついにPCが不要に
さらにPalmは、Palmイーサネットクレードル(公共の集会所や企業のキャンパスでの利用を考慮してデザインされた10Mbit/秒のシングルスロットデバイス)も発表した。
このクレードルは、ホストのPC、もしくは専用サーバに接続することができ、これを介してユーザーが社内電話帳などをアップデートできる。
「ホストとして自分でPCを用意する必要はない」(Twerdahl氏)
セキュリティはサーバ上のバックエンドプロトコルで確保されるが、さらなる保護機能として、ユーザーはアクセスするサーバのIPアドレスを知る必要がある。
「ライバル会社のキャンパスを訪れた人間ががそこのサーバにアクセスできるようにはしたくない」(Twerdahl氏)
Palmはまた、同社の既存のPalm VIIを、8 Mバイトのメモリ(Palm VIIの4倍)を搭載する「PalmVIIx」へとアップデートしている。
ユーザーはアプリケーション用にメモリが増えたことに満足するだろうが、追加分のメモリは、Amazon.comとの書籍購入提携やFidelityとの株取引機能など、より多くのWebクリッピングサービスの搭載を可能にするようデザインされている。
ユーザーは9月30日までにいずれかのPalm製品を購入すると、11種類の教育/研究関連アプリケーションを納めた「Road Scholar」CDを購入することができる。
Palmはほかにも、「ミレニアムブルー」と「シャンパン」の両アルミニウムきょう体を持つ2機種の限定版Palm Vxハンドヘルドを発表した。これらの限定製品は米国のカスタマーにのみわずか399ドルでPalmのオンラインストア(http://www.palm.com)だけから販売される。
同社によると、限定版のPalm Vx製品は、ケース、キーパッド、およびスナップオン式モデムなど、既存のPalm Vシリーズ製品のすべての周辺機器やアクセサリを利用できるという。
Mobile InsightsのPurdy氏によると、Palm OSと新しいソフトウェアの機能がライセンシー各社に配布されれば、カラーが重要な要素になるだろうという。
「技術的観点からするとカラーに重点を多くことはややバカげているかもしれない。だが実際は、複数の中から1つのPalmプラットフォームを選ぶ機会があると、スタイル面が考慮される場合がある」(Purdy氏)
[英文記事]
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