B2BでDellが直面する予想外の苦労とは?
2000/9/22
(09/18/00, 7:08 p.m ET) By Mitch Wagner, TechWeb
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Webでの販売システムとカスタマーの調達システムを統合することは、eビジネスの象徴のようなDell Computerにとってさえ、予想より難しいようだ。
好調なWeb上での販売の裏には…
Dellは2年前、カスタマーのバックエンドシステムと自社のシステムを統合する計画を発表した。
その計画では、注文は購入者がそのつどWebページに入力するのではなく、Dellとカスタマーが使用するSAPやOracleなどのERPと調達システムの2者をつなぐ、サーバ間のコネクションを通じて自動的に行われる。
このコネクションは、販売/購入データを再入力して経理システムを最新の状態にする必要性も排除してくれる。
発表当時、Webでの販売は大人気となり、5万社以上の企業がこのPremier Dell.comプログラムのカスタム・エクストラネットサイトを設置した。そして現在、Dellの年間売上高の半分以上(180億ドル)はWebからのものとなっている。
ちなみに、スタート時の1998年は25億ドル(年間電子売上高の15%)だった。
だが、人間の介入なしに処理される自動化販売方法の成長は、はるかに遅かった。この方法で大量購入している企業は5〜6社に満たず、ほかに9社が試験導入しているだけだ。
専門家によると、現状では、このように2社のバックエンドシステムをリンクする技術は個別に開発する必要があり、かなりの労力を要するという。また、既製のソフトウェアも十分とは言えない。
顧客側のシステムという課題とXML
そして、Dellにはもう一つの難問がある。Dellの業者間統合ディレクターであるTom Fountain氏によると、大手のカスタマーでは、単にこのようなコネクションを設定する準備が整っていないのだという。
テキサス州立大学オースチン校で学内コンピューティング/指導技術サービスのアシスタントディレクターを務めるMargaret Knox氏によると、各社の購買ソフトウェアはそれぞれ異なっており、標準インタフェースを備えていることはまれだという。
同大学にはPremier Dell.comにアクセスできる2万人の教授や職員のほか、DellからPCを購入できる職員が数千人いる。同大学は処理を合理化すべくインターネット上で購買システムをDell側と接続することを検討中だ。
「どのソリューションもカスタマイズしなければならないのが難点だ。シンプルな既製アプリケーションではないので、かなりの作業が必要になる」(Knox氏)
そこでDellが提案した解決策は、標準のXMLフォーマットを使い多くのカスタマーサイトで統合に一貫性を持たせるというものだった。Ariba、Dell、IBM、そしてMicrosoftをはじめとする32社の企業が先週立ち上げたUniversal Description, Discovery and Integration(UDDI)プロジェクトは、スタートとしてはよいものになっている。
このプロジェクトは、企業が自社の記述や電子商取引トランザクションの受け取り方法を示す言語の標準化を目的としたものだ。
Procter & Gambleでは、北米にいる3万9000人の社員が使うPCの大部分をDellから購入しており、Premier Dell.comを使って発注している。この注文を社内の調達システムと同期させることが長期的なゴールとして掲げられている。
同社情報技術ディレクター補佐であるTony Salhandra氏は、「課題の1つだ。長期的にはDellだけでなく主なサプライヤーとのやり取りについてもこの方法しかないことは明らかだ」と話している。
Premier Dell.comのもう1社の大口カスタマーであるDetroit Edisonは、サーバ間コネクションを検討する前に、20年来使っているメインフレームによる文字ベースの調達システムを入れ替えねばならない。
8000台のDell製デスクトップシステムと200台のサーバを導入しているDetroit Edisonの副社長補佐、Wayne Hastings氏は、「1980年に導入した典型的な古いシステム」と語る。
この調達システムを入れ替えた後(予定は来年)、同社はサーバ間統合という次の段階の計画に着手する。
その一方、DellではPremier Dell.comエクストラネットページのアップグレード作業を行う。
管理はどちらがするのか?
Dellは先日、自社のカスタマーにWebサイトへのキーを渡し、PCの購入機能を実行するエクストラネットにアクセスできる社員をカスタマーが管理できるようにした。
エクストラネットへのアクセスは、これまでDellによって管理されており、ユーザーからのアクセスはグループベースでのみコントロールされていた。たとえば、購入権限を持つ社員は共有するIDとパスワードを使ってアクセスしていた。
社員が会社を辞め、その社員のDellエクストラネットへのアクセスを拒否するには、そのグループのパスワードを変更するしか方法がなかった。
Dellのプロダクトマネジャー、Kristena Bins-Turner氏によると、「だれがまだサイトにアクセスできるのかを知る方法や、権限を無効にする方法がなかった」のだという。
Burton Groupのアナリスト、Larry Gauthier氏によると、Dellのサービスは、どのユーザーがエクストラネットサイトにアクセスできるのかを法人カスタマーに管理させるという新たなトレンドの始まりを象徴しているという。
「このようなデータはサプライヤーよりもクライアントにとって重要なものだ」(Gauthier氏)
一方iPlanet、Netegrity、Oblixなどのベンダーは、ビジネスパートナーによるエクストラネットへのアクセス管理を支援するツールを発売している。
ベンダー各社は時間節約の手段として代理機関を大々的に宣伝するが、Gauthier氏はそうでもないと見ている。
代理機関を利用すれば、カスタマーによるエクストラネットへのアクセスを管理する必要はなくなるが、自社のサプライヤーが持つエクストラネットへのアクセスは管理しなければならないからだ。
「他社のディレクトリで運用管理をしても、作業量は自社のディレクトリで全員のアクセスを管理するときと変わらない。私はこれを、フットボール競技場の視界に例える。つまり、全員が座っていても、見える風景は全員が立っているときと変わらないのだ」(Gauthier氏)
[英文記事]
Integrating
Sales, Procurement Hard Lesson For Dell
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