ECとエンタープライズ市場で争うSunとMicrosoft

2000/9/27
(09/22/00, 8:24 p.m ET) By Barbara Darrow, TechWeb News

 今週、MicrosoftとSun Microsystemsは、将来的に両社の製品が企業システムやeビジネスのかなめとして導入されていくことを、世界に確信させてくれるだろう。

 Microsoftは9月26日、社員の間で「Serverpalooza」と呼ばれているイベントをサンフランシスコで開催する。そこでは社長のSteve Ballmer氏が、ついにWindows 2000 Data Center Edition、SQL Server 2000、そしてBizTalk Server 2000をはじめとする各種製品の発売を発表する。

 その次の日、東へ4828キロ移動したところで、Microsoft最大のライバルであるSun Microsystemsが、ニューヨークで開催するNet Effectsイベントで同じようなことを行う予定だ。

目新しさのないMicrosoft

 Microsoftの製品はどれも、同社がこれまで2年間に話してきたことに耳を傾けていた人にとっては特に目新しいものではない。また、Data CenterはOEM専用製品であるため、実際の出荷日はOEM先に依存する。Exchange 2000は1カ月前にメーカー向けに出荷されたが、10月10日のMicrosoft Exchange Conferenceまでは正式に出荷されない模様。それでも、このイベントでは製品とともに同社がエンタープライズやWeb電子商取引インフラの基盤として協力していくという体制が大々的に宣伝される。Windows NTや、その最新版であるWindows 2000は部門レベルをたちまち魅了したが、このイベントではWindows 2000のラインアップがエンタープライズの運用に適した選択肢であることを示すことになっている。

 エンタープライズクラスのサーバの大部分は、依然としていずれかのUNIXで運用されている。UNIXは負荷のかかるWebサーバで最も好まれるOSでもある。

 アナリストによると、Microsoftは共通してこれらの製品に関して出遅れているという。だが、これまでは遅れが同社に有利に働いてきたかもしれないが、今回は大きな痛手になる可能性があるという。

 Current Analysisのアナリスト、Shawn Willett氏は、「今回は、遅れがうまい方向に行かず、市場を止めることができなかった。このような(電子商取引)ソフトウェアは、Microsoftが大きな影響力を持たないハイエンドのサプライチェーン関連に売り込まれている。今、彼らが唯一期待できるのは低価格製品だけだが、彼らより規模の小さい企業でさえ、独自の低価格製品、もしくはエントリーレベル製品を出してきはじめた」と語った。

新興企業がシェアを奪っている

 観測筋によると、電子商取引では、Commerce OneやAribaのような企業がMicrosoft、Sun Microsystems、そしてHewlett-Packard(HP)といった不動の地位にある企業からマーケットシェアを奪っているという。そして今、MicrosoftやSunが反撃の準備を着々と整えている。

 Hurwitz Groupの社長、Judith Hurwitz氏も同じ意見だ。同氏によると、Microsoftは「.NETを背景に影響力を得ようとしているが、ほかの企業が市場をつかんで勢いに乗っているB2Bで存在感を失ってしまった。Microsoftはリーダーシップを取り戻したいのだろうが、それにはかなりの努力を要するだろう」という。

 さらに、Giga Information Groupのアナリスト、Mike Gilpin氏によると、Microsoftによる.NETのマーケティングは、最初にこのコンセプトを思いついた経営陣の退社により、焦点がぼやけてきたという。Microsoftの.NETは当初、Webを介したアプリケーションの緩やかな結合によってサービスベースのアーキテクチャを実現すると定義されていた。

 「同社の製品すべてに“ドット・ネット”が付加されるようになった今、ドット・ネットは急にこれまでのような意味を持たなくなり、あらゆる製品の次期バージョンを示すだけのものになってしまった。ドット・ネットも“ドット・ネクスト”も意味はほとんど変わらない」(Gilpin氏)

 それでも、MicrosoftはWebやエンタープライズ参入に関わる大手のパートナー各社を披露する。たとえばHewlett-Packard(HP)は、NetServerが32プロセッサをサポートするよう拡張されることを発表する。現行のNetServerは最大8基のIntelプロセッサまで拡張できる。HPは、IA-64ベースのモデルが発売されればPA-RISCプロセッサベースとなった同社のSuperdome「スーパーサーバ」でMicrosoftのサーバソフトウェアが動作するようになることも強調するだろうとMSは期待している。

新ワークステーションを公開するSun

 Ed Zander社長以下Sunの経営陣はニューヨークで、新たに発表されたUltraSPARC IIIチップのロードマップの詳細を明らかにし、「Sunblade」と呼ばれる新しいUltraSPARC IIIベースのワークステーションを公開するものと見られる。同ワークステーションはこれまで、「Excalibur」というコード名で呼ばれていた。同社の関係者はコメントを控えている。

 この計画を知る情報筋は、「Ultrasparcはドット・コム企業に対応するアーキテクチャを持っていて、スケーラビリティ、バイナリの互換性、そして帯域幅を提供するというのが重要なメッセージになる」と語っている。

 Sunが得意とするエンタープライズとインターネットにMicrosoftが目標を設定したため、この2つのイベントのタイミングが偶然によるものとはだれも考えない。先の情報筋は、「MicrosoftとSunが1日違いでイベントを開催するなんて偶然とは思えない」と語っている。

 Sunは、有力Linux関連ベンダーのCobalt Networks買収(同社の今後のプラットフォームについて観測筋の間に疑問を残した動き)を発表したのを受け、新たな気持ちでイベントを開催する。ある懐疑論的な観測筋は、「Linuxを軽視した会社がこれを販売するというのか、それともUltraSPARCやSolarisをこのアプライアンスやサーバに組み込むというのか」と疑問を投げかける。

 本稿はCRNのPaula RooneyとTechWebのAntone Gonsalvesの寄稿による。

[英文記事]
Sun, Microsoft Square Off For Enterprise, E-Commerce

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