MSとIBMが手を組み推進する「Web Services」とは何か
2000/10/13
いまのところ、BtoBのシステムを構築しようとすれば、それぞれの企業のシステム担当者の打ち合わせが必要だ。システム構成、通信方法、データフォーマットなどをすりあわせ、何度もの動作試験をへて、そして実稼働にこぎつける。
しかし、マイクロソフトとIBMによると、こうした面倒なBtoBによる企業間システムの構築は、もうすぐ過去のものになるという。そのキーワードが「UDDI」「WSDL」そして「SOAP」だ。
UDDI、WSDL、SOAPの親密な関係
9月、米IBMと米Microsoft、そして米Aribaの3社は、「UDDI」(Universal Description Discovery, and Integration」のアナウンスを行った。UDDIとは、いわばインターネット上のビジネスのディレクトリだ。このディレクトリには、インターネット上のどこに、どんなビジネスが、どんな形式で行われているのかが格納される。UDDIのデータベースの運営はまだ開始されていないが、前述の3社によって運営される予定だ。
ただしこのUDDIは、Yahoo!のような、人間が利用することを想定したディレクトリではない。登録される情報はすべて「WSDL」(Web Services Description Language)形式で記述され、コンピュータによって最適なBtoBの相手を瞬時に検索できるようになっている。WSDLはXMLで定義されたマークアップ言語で、その企業の連絡先から、BtoBで取引をするためのプロトコル、データフォーマット、メッセージ交換方法など、必要な情報全てを記述するようになっている。
UDDIのディレクトリを検索する際や、取引先とBtoBを行う際に、主に使われるプロトコルが「SOAP」(Simple Object Access Protocol)だ。SOAPは、XMLなどによって記述されたデータに、ID番号やセキュリティ情報、ワークフローのためのルーティング情報といった、付加情報を与える。通常、こうした付加情報をデータ本文にいちいち入れるのは面倒なため、SOAPが用いられる。SOAPのデータはHTTPに乗せて送ることが多いが、SMTPなど他のプロトコルに乗せてもよい。
インターネット上の「Web Services」を組み合わせる
MicrosoftやIBMがこうした技術を用いて実現しようとしているのが、「Web Services」だ。Web Servicesは、広い意味ではインターネット上で提供されているあらゆるサービスを指すが、一般にXML形式のデータをSOAPでやり取りする機能を持つWebサイトだと考えればいいだろう。人間向けのユーザーインターフェイスは必要ない。
Web Servicesが目指しているのは、インターネット上のサービスを自由に組み合わせてBtoBなどのシステムを構築できるようにすることだ。例えば、オンラインストアを開業したら、商品を提供してくれるメーカーをUDDIで探し、同時にデータフォーマットとプロトコルをチェック。めぼしいところと自社をBtoBで結び、数時間後には顧客に多様な商品を提供することができる。別の例では、いままで自社のeコマースサイトが利用してきた決済システムがよくないので、代わりに別の決済システムを探して、それと差し替える、といったことがダイナミックにできるようになる。すなわち、従来の硬直したBtoBシステム構築の常識が一変する。
MicrosoftがWeb Servicesを推進するのは、それが.NET戦略で目指しているものと同じだからだ。.NETで実現されるのは、インターネット上で機能を自由に組み合わせることであり、それはまさにWeb Servicesの目的と一致する。同社日本法人の関係者も、「新しいVisual Studioは、Web Servicesを構築するためのツールになる」と強調した。一方のIBMも、WebSphereで実現を目指すeマーケットプレイスの実現に、Web Servicesの機能は欠かせない。
UDDI、WSDL、SOAP、XML。両社がこうした標準技術を推進する背景には、巨大なBtoBマーケットのリーダーシップを握るために、いまは技術の普及が先と考えるからだ。
[関連リンク]
日本IBMの関連ページ
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Aribaのホームページ
SOAPのホームページ
UDDIのホームページ
IBM公開のWSDLツールキット
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