CA World Asia 2000レポート
CAのウォン会長、上海に凱旋
2000/11/7
上海の高層ビル群 |
11月6日、中国・上海で米コンピュータ・アソシエイツ社(以下、CA)のプライベートショー「CA World Asia 2000」が開幕した。CA Worldが米国以外の国で開催されたのは今回が初めて。約4000人と発表されたカンファレンス来場者のほとんどは、中国、韓国、香港、シンガポール、台湾、インドネシア、インドといったアジア各国からの参加者で占められた。このところコミットを強めている、同社のアジア市場戦略の一環ともいえるイベントだ。
上海は成長著しく、新市街には最高88階立てという高層ビル群も林立して、伸びゆくアジアを象徴する都市に変貌していた。同社会長チャールズ・B・ウォン氏がもともと上海出身ということからこの都市が選ばれたということだが、きっとこの“故郷の雄姿”を多くの人々に見せたくもあったのだろう。逆に、ここ上海でウォン氏は、国際社会でリーダーシップをとる米国で大成功した英雄として高く評価されている。
米国ではIT関連株の下落が激しく、バブルがはじけたと報じられる昨今だが、初日、基調講演に立ったウォン氏は「not the beginning of the end,the end of the beginning」(終末が始まったのではない。黎明期が終わったのだ)と力説した。
チャールズ・B・ウォン会長 |
“これからはe-serviceの時代”とウォン氏は語る。「いつでも、どこででも、ビジネスや生活に役に立つアプリケーションやプロセスにインターネットを通じて接続できるようになり、それが一年365日稼動している社会のインフラトラクチャになる。あなたがWebのために働くのではなく、Webがあなたのために働くのだ」。
それゆえに同社はASP市場に強くコミットする。特に、アジアの潜在的な可能性に着目した同社は、数ヶ月前に設立したASPインフラストラクチャセンタービジネス会社iCanASPで、ケーブル&ワイヤレス香港テレコムや上海テレコム、NTTなどアジアの通信事業者との協業に力を入れている。
“彼らがCAを選んだ”とウォン氏。同社が「Unicenter TNG」や「Jasmine ii」といった、すでに実績あるe-businessに適したアプリケーションを持っているのがその理由だという。
「我々は結果を約束する。最近は新世界に浮かれてスタートアップ企業が株式市場にラッシュしているが、たいていの場合、収益性やその維持などといったビジネスの基本にフォーカスしておらず、IPOすることばかりを考えている。長期的な展望のない会社に希望はない」(ウォン氏)
同氏のASP市場への進出意欲は非常に高く、この基調講演に先だつ前日のプレスブリーフィングでも、ASPがIT業界の構造を変えうるパラダイムであることを強調した。ウォン氏は、現在サービスを提供しているASPの60%がやがて淘汰されるというアナリスト機関の否定的な見解について意見を求められると、 「もっと淘汰される。70%以上は生き残れないだろう。それはビジネスニーズに合っていないからで当然のことだ。ASPに可能性がないということではない」と揺るぎない口調で語った。
Cynomix代表取締役社長今野泉氏 |
基調講演では、同社のアジアにおけるASP関連事業の実例として、ジョイントベンチャー3社もプレゼンテーションに立った。そのひとつが日商岩井とCAの合弁会社Cynomixだ。
これは4月のCA Worldで発表されたプロジェクトで、B2B eMarketplaceを舞台とした国際貿易取引で生じる物流、金融、保険などのサービスをインターネットで統合的に支援する企業。アプリケーションは「Jasmine ii」などCAのコアテクノロジーで開発されており、業務ノウハウ部分を日商岩井が提供している。同社の代表取締役社長今野泉氏は、現在、シンガポールの大手製紙会社を最初の顧客として獲得し、決済サービスパートナーとしてドイツ銀行、保険サービスパートナーとして東京海上火災が決定しており、すでにサービスが実働段階に入ったことを報告した。
CA World Asia 2000は、引き続き上海で8日まで開催される。
(吉田育代)
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