米MS、BtoBを加速する
「E-Business Acceleration」イニシアティブ

2000/11/8

 米マイクロソフトは11月6日、企業のBtoB取引の支援を行う「Microsoft E-Business Acceleration」イニシアティブを発表した。

 インターネットを介してのBtoB取引、e-マーケットプレイスや電子調達(プロキュアメント)は、米国では実用段階に入りつつある。米IDCでは、2004年にはその規模が2兆2000億ドルに達し、うちEC(電子商取引)は88%を占めるとの予測を発表した。だが、まだシステム面・技術面で不完全な部分は多く、セルサイド(販売側)が二の足を踏んでおり、活発化につながらないと指摘の声もある(参考記事:i2、BroadVisionと販売側マーケットプレイスで提携 )。

 同社ではこのイニシアティブによりユーザー企業のスムーズな利用を支援するという。米アリバや米コマース・ワンなどバイサイド(購買側)マーケットプレイスのベンダーをはじめ、アンダーセンなどコンサルティング会社、デルやコンパックなどのメーカー、主要企業合計9社とパートナーを組んで取り組んでいく。

 イニシアティブの目標は、企業の規模を問わずe-マーケットプレイスにアクセスし、既存のECシステムを用いてバイサイドに到達できることとしている。セルサイド側の問題として、カタログのパブリッシュ、複数の販売チャネルでの運用(複数のプロトコル、データフォーマット、ビジネスプロセスなどに対応)、さまざまなフォーマットでの注文へ対応、と3点の克服課題を挙げた。

 これらに対し、「Commerce Server 2000」や「BizTalk Server 2000」を含む.NET Enterprise Servers製品群と、XMLなどの業界標準技術で対応する。「サプライヤーアクセラレーター」と称したセルサイド支援プログラムでは、例えば、アリバやコマース・ワンのマーケットプレイスのカタログ発行や発注機能と連携を実現するという。また、米IBMと米アリバと共同で行うディレクトリサービス、UDDI(Universal Description,Discovery and Integration)もこのイニシアティブで重要な役割を持つ(参考記事:MSとIBMが手を組み推進する「Web Services」とは何か)。

 ソリューションの構築や支援活動は、パートナー各社と協力して行っていくが、規模の小さな企業に対しては同社が1999年に開始したオンラインサービス「bCentral」でも対応するという。

 e-マーケットプレイスは、昨年末から次々とサイトが立ちあがり徐々に活況を呈しはじめた。まだ先の見えない市場ながらその潜在的規模から、各社がアライアンスを組みながら参入を試みている状態といえる。OSのユーザー人数ではトップのマイクロソフトも、有利な立場を活かして一歩リードを図りたいところだ。同社はこのイニシアティブでユーザーに“(BtoBのECサプライチェーンでの)立場を確保しましょう”と訴えているが、それはBtoBの仕組みを提供するベンダー側にとっても同じといえそうだ。

(編集局 末岡洋子)

[関連リンク]
米マイクロソフトの発表記事
UDDI

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