ラップトップ遭難時対策の新サービスが米国で拡大中

2000/12/5
(12/01/00, 12:30 p.m ET)By Kim Renay Anderson, TechWeb News

 QualcommのCEO、Irwin Jacobs氏は、数カ月前に会議会場でラップトップの盗難に遭い、会社の機密情報を格納したハードドライブも失ってしまった。

 この事件は大きなニュースとなったが、決して珍しいものではない。保険業者のSafewayが集めた統計によれば、昨年1年で38万台以上のラップトップが盗難に遭っているとのことだ。この数字は、コンピュータの盗難問題だけでなく、それと同時に盗まれる重要なデータの紛失問題も明らかにしている。そしてQualcommのCEOの一件のように重要な情報を完全に失うことを防ぐ対策として、バックアップストレージサービスを提供する企業が増えつつある。

バックアップ・サービスとはどのようなものか?

 その一例がManagedStorage Internationalだ。同社では出張の多い企業のエグゼクティブを対象に、空港を含む移動時の拠点となる場所で同社サービスの提供範囲を拡大している。オンライン情報保護プロバイダーであるManagedStorageは、空港に続々と出現しているAerzone Business Centerで同社の「PowerBAK」ソフトウェアを提供している。このソフトウェアは、24時間でオンデマンドのデータバックアップを提供するサービスだ。全米に28カ所の拠点を持つAerzoneは、デスクトップPCとラップトップ用のコネクション、T-1インターネットアクセス、Faxや電話などの機器の装備されたプライベートワークステーションを用意している。現在、そのほとんどは空港で展開しているが、将来的にはほかの場所にも拡張していく方針だ。

 ManagedStorageのサービスの料金は、100メガバイトのストレージ容量で1カ月5ドル95セントから、そして無制限のストレージ容量で19ドル95セントだ。Aerzoneはワークステーションあたり最低5分で5ドルの固定料金で、 追加の場合は1分65セントを請求する。同社では、定期利用ストレージの容量に応じた課金も行っている。

 ManagedStorageの関係者によると、ファイルはすべて暗号化され、バックアップを実行したPCにしかその情報にアクセスできないという。さらに、PowerBAKのシステムを常時監視しているセキュリティプロトコルもある。

 業界の観測筋によると、出張が多く、盗難に遭いやすいエグゼクティブのためのバックアップストレージ市場の拡張は当然だという。IDCが実施した調査によると、企業情報の60%以上が社員のパーソナルコンピュータに保存されている。

 調査会社Yankee Groupのアナリスト、William Hurley氏によると、ManagedStorageのほかにも、iDriveやMySpaceなど、コンシューマーにフォーカスし、何らかのオンラインバックアップサービスを提供するストレージプロバイダーは多数あるという。Hurley氏によると、これらのサービスをどのような場所で利用するにも、その地域のインターネット回線のパフォーマンスに依存するとのことだ。

 「オンラインバックアップサービスは、コンシューマー向け万能セキュアストレージプロバイダーの“基本”サービスだった。これらのサービスはコンシューマー各自に提供されているが、それが今度は中小規模の企業や大企業クラスのカスタマーへと拡張されつつある」(Hurley氏)

[英文記事]
New Services Target Theft-Prone Executive Travelers

[関連リンク]
ManagedStorage International

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