Javaのパラダイムシフトを狙うAppStream、
日本法人を設立
--アプリックスはAppStreamのストリーミング技術をJBlendに採用--
2000/12/7
米AppStream(会長兼CEO:Uri Raz)は12月6日、同社の日本法人「アップストリーム株式会社」(代表取締役社長:長谷川礼司氏)を設立したことを発表した。また、同日アップストリーム株式会社は、Javaプログラムのストリーミング配信でWebアプリケーションの高速な実行を実現する「AppStream for Java Technologies」の国内での販売を開始した。
米AppStreamは、1999年に設立されたベンチャー企業。米国に本社を置き、研究開発の拠点をイスラエルのテルアビブに持つ。同社は、米Red Herring誌に“Ten private Companies to Watch in 2000”の1社として紹介されてから著名になり、Networld+Interrop 2000では“Best of Show”と“People's Choiceを受賞している。同社のAppStreamテクノロジーは米国で高く評価されており、2000年中に、インテル、サン・マイクロシステムズ、ゴールドマン・サックス、コンピュータ・アソシエイツ、ベンチャー・キャピタル数社、さらには日本の三菱商事からの資金調達に成功している。ところで、コンピュータ・アソシエイツはAppStrema for Java Technologiesのユーザーでもある。
同社は、AppStream for Java Technologies(以下、AppStream)を“Just in Time Computing”の実現のためのテクノロジー」(長谷川氏)と位置付けている。サーバ側において、Javaアプレットを独自のセグメント手法と圧縮によって「Streamlet」と呼ばれるストリーミング可能なデータに分割、それを クライアントにストリーミング配信することによって、アプリケーションの起動時間を飛躍的に短縮させることができるという。これはたとえば、Webアプリケーションのログイン画面でユーザーがIDとパスワードを入力している間に次のStreamletがストリーミングされ、アプリケーション全体をダウンロードすることなくスムーズに利用できるという理屈である。
また、AppStreamは単にストリーミングを行うだけでなく、プロファイリング機能によってアプリケーションの中でよく利用される機能に関連したStreamletをプロファイルし、2度目以降はユーザーの使用を予測しながら配信する。それに加え、よく使うStreamletはクライアントにキャッシュされる。これらの機能によって、以下のような本来のインターネットコンピューティングに要求される項目がクリアされるという。
(1)アプリケーションの飛躍的なパフォーマンスの向上
実用的なネットワーク配信型のアプリケーションが実現できる
(2)効率的なネットワークの利用を実現
最小限のStreamletの通信によって通信トラフィックを抑えられる
(3)リッチなユーザーインターフェイスを実現
Javaアプレットによって、HTMLではカバーできないインターフェイスを実現できる
(4) シームレスなバージョン管理
Streamlet単位での自動的なバージョン管理を実現できる
また、長谷川氏は「サーブレットやJSPといったサーバサイドが全盛だが、悩みも多い」とした上で、「もう一度クライアントサイドでアプリケーションを動かす時代が来る。このかたちが、ユーザーにとってベストなアプリケーションだ」と断言した。従来のWebベースのソリューションは問題の解決をサーバサイドだけで動くJavaに解を求めたが、AppStreamによってクライアントサイドで動くJavaアプリケーションの優位性をフルに活用できるというわけだ。この技術によって、AppStreamは次の世代の「インターネットプラットフォームのデファクトスタンダードを目指す」(長谷川氏)のだという。
一方で、AppStream for Java Technologiesは、実はすでに韓国のLGテレコムのJava搭載携帯電話への採用が決定している。インターネットに比べて低速な回線を使用する無線環境では、AppStreamの効果は非常に大きいという。
なお、AppStreamの国内での販売代理店は、NTTコムウェア、新日鉄情報通信システムズ株式会社、東京NTTデータ通信システムズ株式会社、トーメンサイバービジネス株式会社、株式会社パスコ、三菱商事株式会社である。
■アプリックスのJBlendに採用
同日、株式会社アプリックス(代表取締役社長:郡山龍氏)は、同社の組込み向けJava「JBlend」への、AppStreamのストリーミング技術の採用を発表した。アプリックスは日本国内のいくつかの携帯電話メーカーへJavaプラットフォームの提供を行っており、2001年に各キャリアがサービスの開始を表明しているJava搭載携帯電話にもAppStreamが採用される可能性が出てきた。
また、郡山氏は「Javaが携帯電話をアプリケーションプラットフォームに変えることで、本当のウェアラブルコンピュータが実現する」。「Javaは将来の情報家電のアプリケーションプラットフォームになる」と述べた上で、AppStreamをこれらの実現のために積極的に利用していきたいと述べた。さらに同氏は「将来必ずCLDCからCDCへのエボリューションが起きる。さらにIMT-2000のサービスのスタートによって、Javaアプリ-ションの携帯電話への配信はより現実的なものになる。そしてより有効的にJavaを使えるようにするプラットフォームがAppStreamだ」とも述べた。
(グルージェント 宮下知起)
[製品情報]
製品名:AppStream for Java Technologies
対応OS:Windows NT/2000、Solaris
価格 :360万円〜
米AppStream
アプリックス
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