オンライン広告に新しい外観

2001/3/2
(02/26/01, 5:45 p.m. ET) By Jill Morneau, TechWeb News

 バナー広告という形はダメになってしまったが、結果的には新しい形に生まれ変わっただけだった――、ニューヨークに本部を置くオンライン広告業者団体、Internet Advertising Bureau(IAB)は2月26日、大きく、クリエイティブな広告スペースを掲載するWeb広告主のための自主的なガイドラインを発表した。

 Webページを横切る長方形の広告にユーザーがクリックすると広告主のサイトにジャンプできるというバナー広告は(広告主や代理店には残念なことながら)たいていは無視されてしまっているのが現状だ。

 IABが提案したガイドラインには、スカイスクレーパー(Webページの横に付いた縦長の長方形)のほか、バナー広告よりも大きな長方形でWebページの中央に配置されるものなどが示されている。IABの副会長で、インタラクティブ広告会社のPhase2Mediaで会長兼CEOを務めるRichy Glassberg氏は、広告には、3種類の縦長長方形の広告、3種類の横長長方形の広告、正方形の広告という7種類のフォーマットがあると提案している。

 Webに熱心な人々は新しい外見が広告に対する関心を高めてくれることに期待しているが、さまざまな形が混在するとオンライン出版会社にレイアウト問題を提起するおそれがある。

 インターネット調査会社、Pegasus Researchの社長、Greg Kyle氏は、「この一連の流れは、広告をもっと分かりやすくするために人々が苦戦していることを示している。バナー広告は役に立たないというのが一致した意見で、ほかのタイプの広告手法が普及しつつある」と語った。

 Nielsen//NetRatingsによると、このような広告のクリック率は、2000年1月の0.59%から2001年1月には0.26%にまで落ち込んでしまったという。

 だが、ここ数年のクリックスルーレートの低下はもっと厳しいと見る向きもある。観測筋の中には5年前に8%あったクリックスルーが現在は0.26%に低下したとする人もいる。

 しかし、新しい広告の成功率にも疑問がある。Jupiter Media Metixのアナリスト、Christopher Todd氏は、「広告主には、古いものと比較して新しい形の価値を示す証拠は全く示されていない。だれもがこの取り組みをすぐさま大きく賞賛するが、今のところまだ良い結果が出ていない」と語った。

 IABのGlassberg氏によると、IABでは、どのように成功の度合いを判断するかまだ決めていないという。だが、単に広告のサイズを拡大するだけでは解決にはならないだろう。「スーパーボールが人気だからといってスーパーボールで打ち出す広告が成功するという保証はまったくない。必要なのは優れた戦略と優れたキャンペーン。また、人々がインターネット広告はうまくいかないと思い込んでいることも問題だ。Yahooは驚異的な成果を上げている。Yahooの金融、スポーツ、およびショッピングの各セクションは消費者が訪れる重要な場所になっている」(Glassberg氏)

 だが、Webでの広告展開という戦略は不評を買っているのが現状だ。多くの広告主は従来のメディアへと逃避するか、広告費を完全に削減しつつある。

 Todd氏によると、IABメンバーのAmerica Online、Yahoo、そしてMSNの各社は(IABの目標に反するが)広告デザインにそれぞれ異なる仕様を持っているという。「この問題はオンライン出版社側が行動に一貫性を持つようになるまで続くだろう。例えば、Walt Disney Internet Groupは2000年9月から特大サイズの広告を使っており、CNETは3週間前から使い始めた。また、The New York Timesでは数カ月前からスカイスクレーパーを使っている。もしこれらのメンバーが標準を策定したければ、アイデアがあることを明らかにし、協会として標準をどのようにするのか話し合うべきなのだ」(Todd氏)

 だが、各オンライン出版社はそれぞれ独自に計画を立ち上げ、そのあとからIABが標準を策定することになってしまった、とTodd氏はいう。

 IABのメンバーには広告最大手のDoubleClick、America Online、Excite@Home、そしてNew York Times Digitalなど(何らかの影響力を持つ顔ぶれ)が含まれている。

 PC Data Onlineでリサーチ/分析ディレクターを務めるJohn Megahed氏は、「広告代理店に対し慣習的かつ満足できるガイドラインのテンプレートを用意するためには標準化団体が必要。だからといって広告の創造性やポテンシャルを制限することは望んでいない。これらを制限したくはないが、何らかのガイドラインは必要だ」と語る。

 IABのAd Unit Task Forceでは、1年に2回会合を開き、既存の広告単位の効果を調べ、提案された新しい広告のレビューを行い、最新の独自ガイドラインを適宜発行する予定になっている。

[英文記事]
New Look For Online Ads

[関連リンク]
IAB

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