NEC、企業システムのモバイルソリューションを発表

2001/6/27

　NECソリューションズは6月26日、携帯電話・PDA・ノートPCなどのモバイル端末を利用したシステム構築を行うソリューション体系「iBestSolutions/MobileEnterprise」を発表した。

　iBestSolutions/MobileEnterpriseは、Mコマース、CRM、EIPなど企業システムのモバイル化を実現するためのコンサルタント／システム構築サービスで、「モバイル業務サービス」「モバイル共通基本サービス」「モバイル基盤」の3つのレイヤーで提供していく。

　「モバイル業務サービス」は、ECやCRM、営業支援、社内情報共有などの業務について、モバイル対応のシステム構築を行う。「モバイル共通基本サービス」は、コンテンツ管理やセキュリティ対策、位置情報サービスなどモバイル対応システムで必要となる共通システムを構築する。「モバイル基盤」は、通信基盤やコンテンツ配信基盤、携帯端末などのモバイル基盤製品群、モバイル対応システムを構築するための各種サービスを体系化したもの。

　同社はこのiBestSolutions/MobileEnterpriseの中核製品として、モバイルサービス基盤ソフトウェア「モアレッシモ（Moirissimo）」とEC販売サイト構築パッケージ「CommerceSiteExport／モバイルオプション」を6月29日から発売する。モアレッシモは、企業システムのモバイル化に必要な機能を共通基盤として提供するもの。

　XML技術を採用することで、モバイル端末向けに用意した1つのコンテンツをiモード／EZweb／J-スカイやPDAなど、さまざまなモバイル端末の記述言語に合わせて自動的に変換・表示できる。また、変換についてはスタイルシート（XSLT）を利用しており、このスタイルシートを追加することで新機種や新たな記述言語への対応が可能となっている。

　既存のWebシステムを解析し、画面デザインと表示ロジックとに分離し、画面デザインをモバイル端末用に変更・最適化し、再構成を支援するリバース機能を搭載する。

　現状ではiモード／EZweb／J-スカイともに公式サイト以外での端末認証はできないが、モバイルセキュリティ機能により、“勝手サイト”でも端末認証が可能となる。キャリアや携帯端末の種類によって、UTN方式（キャリア提供識別番号利用）やメールバック方式（電子メールで発行するワンタイムパスワード認証）を使い分け、統一的なインターフェイスで認証機能を利用できる。さらに携帯Javaにも対応し、各キャリアの携帯Javaの非互換を吸収し、アプリケーションの互換性を保持できる。また、RMI/IIOPにより分散アプリケーションの構築も可能だ。

　今後の展開としては、GPSなどの位置情報の利用や、視覚や聴覚など複数の手段を組み合わせたインターフェイス「マルチモーダル」の装備を検討中とのこと。

　CommerceSiteExport/モバイルオプションは、モアレッシモと既存のEC販売サイト構築パッケージ「CommereceSiteExpert」を連携し、モバイル端末向けのコンテンツ提供や商品購入、認証などを行う。

　価格は、モアレッシモ（コンテンツ適合化機能）が150万円から、モアレッシモ（コンテンツ適合化機能＋認証機能）が200万円から、CommerceSiteExport／モバイルオプションが116万円からとなっている。

　発表会の席上で、NECソリューションズ市場開発推進本部長の船津重宏氏は、「ブロードバンド＆モバイルの広がりは、広帯域化と常時接続化の2面から考えていく必要がある。プロードバンドに対してはデジタルコンテンツ配信ソリューションを中心に展開し、モバイルに対しては企業システムのモバイル化を中心に展開していく」と述べた。さらにインターネットソフトウェア事業部長の岡浩氏は、「さまざまなモバイル端末への対応、モバイル特有のセキュリティ問題、位置情報などモバイルサービス利用の困難さなど、モバイルシステムを構築するための基盤サービスが未成熟なため、モバイル化には多くの困難がつきまとう。そのためにモアレッシモを開発した」と付け加えた。

　また、今後モバイル事業の拡大に伴い、年内にも新たなPDA製品を投入することも明らかにした。対応OSや記録媒体などの詳細は明らかにされなかったが、Pocket PCやPalmのようなPDAになると見られる。

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