グローバルな新薬開発などを支援する臨床開発支援アプリケーション

2001/10/4

左から、CTCの後藤攻代表取締役社長、CTCLSの住野紘一代表取締役社長、日本オラクルの新宅正明代表取締役社長

 伊藤忠テクノサイエンス(CTC)、CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)、日本オラクルの3社は10月3日、製薬分野におけるグローバルな臨床試験データの共有化を実現する臨床開発支援アプリケーション「Oracle Clinical(オラクル・クリニカル)マルチリンガルバージョン」を共同開発し、10月4日より国内出荷を開始すると発表した。

 「Oracle Clinical」は、製薬会社などが新薬を開発する際に必要な臨床試験の症例データなどを収集・管理し、整合性を検証するアプリケーション。従来からある英語版は、ファイザー、ロッシュ、ベーリンガーインゲルハイムなど大手製薬会社を始め、世界で121の顧客を持つ。今回のマルチリンガルバージョンは事実上、世界の医薬マーケットの20%を占める日本市場向けの日本版になる。

 製薬業界では、ICH(日米欧医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議)のGCP(医薬品の臨床試験の実施基準)のガイドラインにより、臨床試験データの国際的な相互利用が認められるようになり、新薬開発の国際化が進んでいる。新薬を世界的に展開する場合に各国審査機関に対して承認申請書を提出することが必要だが、それ以外にも他国の製薬会社から日本の研究機関に臨床試験データの提供を求められるケースも増加しており、国際的なデータのやりとりと専門用語の翻訳というプロセスが生じている。また、もともと薬品の開発には多額の投資が必要であり、その投資を特許有効期限中に回収する必要があるため、臨床試験を含めた研究機関の短縮、新薬承認審査の迅速化は至上命題だった。

 「Oracle Clinical マルチリンガルバージョン」を使うことで、日本、米国、欧州でそれぞれ同一手順で臨床データを集計し、そのデータを最後にまとめて統計解析を行うことで臨床試験プロセスの迅速化を実現する。

 価格は、1ユーザーあたり300万円(最小5ユーザーより)。国内での販売・サポートは、CTCLSが行うが、日本の製薬会社が海外でOracle Clinicalを導入する場合は、オラクル・コンサルティングがサポートする。

[関連リンク]
日本オラクルの発表資料
CTCの発表資料
CTCラボラトリーシステムズ

 

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