IBM、量子コンピュータで暗号解読への一歩

2001/12/21

 米IBMは米国時間12月20日、量子コンピュータを用いた因数分解に成功したと発表した。同社はこの実験レポートを、米科学雑誌『Nature』12月20日号に発表した。

 この実験は、米国にある同社のアルマデン研究所で行われ、試験管内で、専用設計された多数の分子を7キュービット(qubit)の量子コンピュータとして動作させたもの。「ショアのアルゴリズム(Shor's Algorithm)」によって15の因数である「3」と「5」を求めることに成功した。

 原子または原子核の持つ量子論的性質を利用して動作する量子コンピュータは、原子(または原子核)を量子ビット(キュービット)として動作させる。このキュービットを相互に作用させることにより、計算を行う。量子状態では、複数の状態の重ね合わせが発生するため、複数の演算が同時に実行できる。

 大きな整数を素因数分解する場合、従来のコンピュータでは、因数分解に要する時間は、整数の桁数に応じて約倍増していた。量子コンピュータの場合、重ね合わせの状態を利用して複数の演算が同時に処理できるため、計算時間は、数が1桁大きくなるごとに一定の時間が加算されるだけとなる。

 量子コンピュータは、1970年代、リチャード・ファインマン(Reichard Feynman)などにより提唱された。この分野の研究は急速に進展しつつあるが、商用的な利用はまだまだ先という。量子コンピュータの可能性は莫大とされているが、用途には、複雑なもの(例えば、整理されていないデータの検索など特別な作業を行うコプロセッサー用)などが想定されている。最も注目されているのは暗号解読の分野で、現在PKIなどに用いられている暗号も量子コンピュータが実現されれば容易に解読されてしまうと言われている。

[関連リンク]
IBMの発表資料

[関連記事]
半導体の集積率の現在を破壊、次世代のトランジスタ技術に目処 (@ITNews)
IT業界のトカゲを目指す?IBM (NewsInsight)

 

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)