米国流、SIがやってはいけない5つの法則

2002/5/2
By Joy D Russell, VARBusiness 10:40 AM EST Tues., Apr 09, 2002

 “Fortune 500のITプロバイダになるにはどうすればよいか?”――米国のITベンダならどこも頭を抱えている問題だ。電話をかけるか? 電子メールを送りつけるか?ほかのVAR(販売代理店)各社とのコネを探るか? ――アタック方法が企業ごとに異なるのは明らかであるが、ターゲット企業へのアプローチでしてはならない共通事項もある。それが以下の5つだ。

1. 飛び込み営業をすること
2. 下調べを怠ること
3. ROI(投資資本利益率)を見落とすこと
4. 自分をわきまえないこと
5. 自覚を持たないこと

 “グローバルに展開する大企業がサードパーティのIT受託業者に予算など割くだろうか?”と決め付け、Fortune 500企業を見込み客と見なすことは無駄と思われる方もいるかもしれない。だが、われわれ(VARBusiness誌)が実施した「IT Spending and Strategy」(ITSS)調査によると、その答えは「イエス」なのだ。

 われわれは、Global 500、Fortune 500、Fortune 1000といったランキングに顔を出す企業各社のCIOがソリューションプロバイダ各社に何を求めるのかについての調査を行った。コンタクトをとった企業は、米Burlington Coat Factory Warehouse、コンチネンタル航空、米ダイムラー・クライスラー、米フェデックス、米General Motors North America、米シアーズ、米リーボック、米Starwood Hotels & Resorts Worldwideといった業界でも最も革新的な企業各社。調査で寄せられたコメントには得るところが多く、有益なもので、予算割り当ての優先順位や取引獲得のためのヒントなどの実情が明らかになった。

 まず、ITSS調査のターゲットはサードパーティプロバイダ各社とのITソリューション契約締結を担当するトップレベルの経営陣だったことを考慮していただきたい。大半(72%)は今年も、最低でも2001年と同程度の支出を予定している。また、63%がIT関連の支出は今年の第2もしくは第3四半期に最高額に達すると見込んでいる。

 つまり、顧客の厳しい要求を満たすことのできるソリューションプロバイダに流れるお金はあるということだ。VARが他社より魅力的になるには技術とビジネスの専門知識が必要であり、このことはCIOから聞いた話ともつじつまが合う。

 例えば、米Burlington Coat Factory Warehouseの副社長兼CIOであるMichael Prince氏のような人物に電子メールを送る場合は、自社の概要、これまでの技術的背景、そして競合各社の動きを事前に調べておくと効果的なようだ。

 「わが社について研究し、下準備をしておけば、少なくとも話だけは聞く。例えば、新聞などできっかけになるような記事をマークしておくとかね」(Prince氏)

 数カ月前にも、下準備のおかげで、あるソリューションプロバイダが数十万ドル規模のプロジェクトをPrince氏から獲得することに成功した。別の会社にいたPrince氏へのアプローチに以前失敗したことのある同ソリューションプロバイダが、再挑戦を試みたのだった。同ソリューションプロバイダからは、営業担当副社長とコンサルティング担当副社長が準備を整えてPrince氏に話を持ち込んだ。

 「担当者は、ふさわしいトップの人物を連れ、準備万端で会いに来た。そして、一般的な話は省き、具体的な話をした。彼らにはシスコ(システムズ)やブロケード、そしてStorageTek、サン(・マイクロシステムズ)、ベリタス(ソフトウェア)などのストレージベンダ各社に匹敵する能力があった」(Prince氏)

 米Burlingtonは早くからLinuxを導入している企業の1社で、同ソリューションプロバイダはPrince氏がこのLinuxに熱心なことを知っていた。

 「わが社はLinuxでいろいろなことをしており、強い関心を持っている。彼らは製品の供給方法や統合支援の方法に関する話を持ちかけてきた。他社との大きな違いはここで、決定の要素となった」(Prince氏)

 Prince氏によると、目下のところ、同ソリューションプロバイダが同社のソフトウェア、ハードウェア、およびサービスの正規プロバイダの1社として要請を受ける確率が高いという。

 だが、おそらく、将来的にこのVARは複数の新規参入ベンダと競合しなくてはならなくなるだろう。さらに、現在の経済状況に起因する予想外の事態の1つとして、この業界に新規参入するベンダの数がある。これまでの2年間は、ITソリューションプロバイダにとって決してやさしいものではなく、その多くが財政難に屈してきた。最近の傾向として、市場に携わる専門家は、新規事業ブームが起こりつつあることに気づいている。ブームとなった理由の1つに、企業のIT部門を解雇された人がITコンサルティングサービスビジネスを立ち上げ始めたことがある。

 全米の2000社以上のITコンサルタント、VAR、およびソリューションプロバイダが加盟する全国規模のリセラー団体である米ASCII Groupの創設者で会長兼CEOのAlan Weinberger氏は、「消費意欲が高まっており、人々は売上げが上昇すると期待している。いまがコンピュータの製品やサービスの販売業に参入するチャンスかもしれない。今年は、われわれと新規参入業者にとって良い年なると思う」と話す。

 ITSS調査の回答者の40%が、エンドユーザーである企業がプロジェクトの全部もしくは一部をアウトソーシングするにあたってソリューションプロバイダと最も頻繁にコミュニケーションを取る人間を“CIO”と回答している。つまり、VARが企業に売り込みをかけるための手がかりを得るのに適しているのは、企業のトップ経営陣ではなくCIOなのだ。そして、ターゲットとする企業の技術課題に対しての究極のソリューションを提示できるよう、CIOの興味をかき立てるのに必要なものを学ぶことが有効といえる。回答してくれたCIOは、自分たちへのアプローチで絶対に避けなければならない重大な違反行為も明かしてくれた。

 米Analysts International of Sequoia.net(VARBusiness 500の第388位)のe-ビジネスソリューション担当副社長、Bill Murray氏は、「だれもが、おそらく一度は何らかの違反行為を犯しているだろう」と話す。

 回答者のCIOのアドバイスからは一流VARも恩恵を受けられる。VARBusiness 500の企業の幹部たちも、回答者のCIOが口にする冒頭の5つと同じ考えを持っているのだ。

[英文記事]
Five Things CIOs Hate

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