[Interview]
EAIを超えた「完全なビジネスプロセス統合」こそが重要
2002/6/14
企業内のシステムを統合するEAI(Enterprise Application Integration)や企業間のシステム同士がやりとりを行うBtoBのニーズが高まっている。そうした中、システム・インテグレーションのテクノロジとして、Webサービスが本命視されるようになってきた。ツール・ベンダとしてEAI市場をリードするティブコ ソフトウェアも、トータルなビジネス・インテグレーションの提供を指向している。今後のビジネス・インテグレーションのポイントと同社のWebサービスへの取り組みについて、同社のトータル・ビジネス・インテグレーション製品スイートの開発責任者であるヴィジェイー・テラ(Vijay Tella)氏に訊いた。
──ティブコが現在行っている事業は?
テラ氏 ティブコはインテグレータとしてソリューション提供の仕事を続けているが、最近では新しいビジネスとして“標準化”が加わっている。現在、Webサービス、JMS(Java Message Service)、XML関連の標準化に関わっており、例えば、JMSのリアルタイムの規格の部分は、ティブコとPGM(Pragmatic General Multicast)のリーダーとして知られるタラリアンで策定した。同社は最近ティブコが買収した。
米ティブコソフトウェア エンジニアリング部門 シニア バイス プレジデント ヴィジェイー・テラ(Vijay Tella)氏 |
メインストリームであるシステム統合の市場向けには、イージー・トゥ・ユースで、標準に準拠した製品をリリースしている。これらの製品を通じて、フルスタンダートサポートを行っていく。これはWebサービスに関する完全なサポートを意味しており、JMS、Javaコネクタアーキテクチャ、.NET、EJBなどを含んでいる。
ゴールとしては、ティブコが持っている技術であるインテグレーション力を活用して標準化と結びつけ、最も使い勝手の良い製品を作っていく──これに尽きると思う。
ティブコは、インテグレーションとビジネスプロセスの分野でリーダーシップを発揮しつづける。そのためにはまず、完全なインテグレーションを図ることが重要だ。EAIあるいはBPM(Business Process Management)、ポータル、BtoBに対しても完全な統合を実現していく。
──完全な統合とは?
テラ氏 1つのところに焦点を当てるのではなく、全体に焦点を当てた統合だ。具体的にいうと、まず最初にEAIに代表されるような社内の統合、それからBtoBに代表されるパートナーとの関係の統合、それから人──自社の社員であったり、外部の人であったり──そういった人と人の関係の統合を視野に入れている。
──人の統合とはどういうことか?
テラ氏 どんな会社でも、マーケットで指導的立場をとったり収益性を上げていくためにキーとなるのは、人とビジネスプロセスとパートナーだ。EAIとはトータル・ビジネス・インテグレーションで、これを使うことによって収入が増大していくものだ。例えば新しい製品やサービスを出し、その中でコストを削減し生産性が向上していく。こうしたことを通じて、良いサービスを提供していくということがEAIの目的だ。従って、EAIの中心となるのは人とビジネスプロセスとパートナーといえる。
人の統合に関しては、2つのことを考えている。1つ目は、人間がビジネスプロセスに参加する形を作っていくということだ。社内の業務をオートメーション化すると例外処理が発生する。たとえ5%の例外でも、この例外に関しては、人間がやらなければならない。この点でシステムの人間の統合が必要だ。われわれの「TIBCO InConcert」というワークフロー製品は、このような形で人間を統合していくという問題を解決するソリューションだ。
2つ目は、人の役割が異なる点に注目したポータルだ。人といってもさまざまな人がいて、CEOは社内で起こっていることをすべてリアルタイムに見ていかなければならないし、社内の人間は、セールスやマーケティングなどそれぞれの役割がある。またパートナーはパートナーで違う役割があり、取引先として安全なやり方でアクセスする必要がある。ティブコの「TIBCO PortalBuilder」は企業ポータルを構築するプラットフォームとなる製品で、企業ポータルを社員個々人に合わせてパーソナライズされたビューで公開できる。人と情報のやりとりなどに関してよく見渡せる(ビジビリティ)という点が大きな特徴だ。この製品は弊社のEIP製品群「TIBCO ActivePortal」の1コンポーネントだ。
このような点から、ティブコはワークフーローからポータルまでを含めた統合を成し遂げたベンダだと自負している。
──Webサービスへの取り組みはどうか?
テラ氏 ただWebサービスを持っているだけではダメなので、使い勝手よく、容易に、さらにビジネスプロセスの価値を高めるようなものが必要になる。
Webサービスは、初期の段階では、どのようなナットとボルト──部品を組み合わせて使うかが分かっていなかった。現在、その部分に関しては標準化がかなり行われてきた。現在は、Webサービスを利用して、何をどのように構築するか、ビジネスにどのような特徴を組み入れていくかを考慮する段階。そこで、ティブコは統合、マネジメント、ビジュアリティの確保という形でビジネスやシステムの価値を高めていきたいと考えている。
今後、Webサービスの統合がエンタープライズコンピューティングの目玉になってくるだろう。統合とコネクティビティは異なる次元の問題だ。ティブコは、現状でも統合の利点をもっているが、この点ではこれからもリーダーシップをとりつづけていくことができると思う。
──Webサービスに関連して、今後はソフトウェアの部品化が進むと思われるが、御社の取り組みは?
テラ氏 Webサービスにしても、その他コンポーネントにしても、1つのモノリスの構造ではなく、部品がそれぞれの役割を持ってはじめて機能する。ユーザーは、必要な要素をとってきて、それをビジネスプロセスの中で一体化、つまりくっつける、ということが必要になると思う。この点でインテグレーションが重要となると思われるが、企業のプロセスを考えても、小さな機能サービスのうち必要なものを取り入れて、ビジネスプロセスの中でくっつけていく。これがキーになるだろう。
その中でサービスをどのように管理していくか、見通しやすさがどのようなものであるか、この双方の働きを見ていく必要があると思う。
──ティブコは単にシステムを繋ぐということから、どのように繋ぐかというソリューションを提供する会社へ進化しているわけか?
テラ氏 そのとおりだ。いまはエキサイティングな時代にあると思う。Webサービスのコネクティビティの問題がなくなると、もっと大きな、高いレベルに注意力をひきつけることができる。つまり、ビジネスプロセスのバリューをどうするかという、高い価値のある方向へ関心をシフトすることができるということだ。エンジニアから見るといい時代になったといえる。
(編集局 鈴木崇)
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