アクセンチュアが唱えるWebサービス2005年普及説

2002/7/19

アクセンチュア ソリューション・エンジニアリング・グループ パートナー 先端技術グループ リーダ 勝屋信昭氏
 アクセンチュアは7月18日、「XML Webサービスによる高付加価値ネットサービスの創造」と題するセミナーを開催し、Webサービスを取り巻く市場の解説および同社の取り組みを説明した。冒頭、ソリューション・エンジニアリング・グループ パートナー 先端技術グループ リーダ 勝屋信昭氏は、さまざまな調査会社の資料をもとにWebサービスのマーケット状況を紹介した。
 
 それによると、米ガートナーグループデータクエスト部門では、2001年に20億ドルだったWebサービスの市場は2005年に210億ドルに達すると予測。しかし2002〜2003年にかけては、Global2000企業におけるWebサービス利用は、ファイアウォール内の利用のみにとどまるだろう、と予測しているという。米IDCの予測はガートナーグループと比較して楽観的だ。Webサービスのマーケットは、2005年に500億ドルに達するという。勝屋氏は「いずれにしても、バリュー・チェーンを構築するなどの本格的なWebサービスが普及し始めるのはまだ先のことだ。だが、2002年後半には成長スピードが加速し始めると思われる」と話す。
 
 同社では、2002年中ごろよりアーリーアダプタと呼ばれる先進的な取り組みを積極的に行う企業でWebサービスの導入が進むとみている。その後、しばらくの間は「Moore's Chasm」という、少数の先進的な顧客が導入した後に、マジョリティが受け入れるまでの時間がかかる時期をはさんだ後、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティへの導入が進む、と予測している。同社のマーケット分析は、基本的にガートナーグループやIDCと同様の普及タイミングを想定しており、2005年をめどに普及期に入るとしている。
 
 アクセンチュアのWebサービスに対する取り組みは、現在、「アクセンチュア テクノロジー・ラボ」、「先端技術グループ」という2つの研究グループが担当している。「アクセンチュア テクノロジー・ラボ」は100人規模の研究組織である。日本国内に出先機関はない。一方、先端技術グループは国内にも部署が存在する。これらのすみ分けは、「アクセンチュア テクノロジー・ラボ」が登場したての技術の研究を行うのに対し、先端技術グループは、普及の前段階における新技術の応用を検討し、ビジネスベースに乗せる準備を行うところにある。現段階では、国内において同社が手がけるWebサービス関連の具体的な案件はほとんどないに等しく、「先進的な顧客の導入事例として3件ある」(勝屋氏)程度である。
 
 ただワールドワイドでは、マイクロソフトの.NETを利用した具体的なWebサービスソリューションを構築している。このシステムは、「ダイナミック・デリバリー・システム」とのサービス名がついている。ユーザーが自らのプレゼンス情報などを配送業者に提供することで、ユーザーの都合にあった配送を実現するシステムである。
 
.NETを利用した「ダイナミック・デリバリー・システム」のシステム概要(図をクリックすると拡大します)

 ユーザーは、PCやPDAを端末として、マイクロソフトのメッセンジャーソフトを介して注文を行う。ここで、システムはカレンダーのスケジュールを確認し、ユーザーが配送予定日にいると考えられる位置情報、時間を取得し、適切な時間に適切な場所へ荷物を届ける。

  同社ではこのような具体的なソリューション・パッケージのほかに、Webサービスの構築を支援するサービスメニューも開発している。1つは、認証済みのWebサービスのディレクトリを提供する「Web Service Library」。2つ目は、Webサービスとアプリケーションを構築するツールやテスト環境を可能にするソフトウェアインフラ、メソドロジのデリバリーを行う「Development Application Services Provider(DASP)」、3つ目は、サードパーティのWebサービスを評価し、同社の基準に準拠していると保証するガイドラインなどを提供する「Web Services Certification」である。

  通信ハイテク産業本部マネジャーの伊集院直人氏は、国内におけるWebサービスの普及状況について、「標準化と平行して、アーリーアダプターが実際にWebサービスの導入を開始し、成果を上げていくと予想できる。この場合、アーリーアダプターは、流通や物流などの業界ではないかとみている」と予測している。

(編集局 谷古宇浩司)

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