UNIXベースのサーバOS「MacOS X Server v10.2」の実力は?
2002/7/27
「MacOS X Server
v10.2」
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今回、アップルは「MacOS X Server v10.2」で50以上の機能追加を行っている。アップルのワールドワイドプロダクトマーケティング担当上級副社長 フィル・シラー(Philip Schiller)氏は、MacOS X Server v10.2が同社のラックマウントサーバ「Xserve」と組み合わせることを前提に、「MacOS X Server v10.2は、Mac、UNIX、Linux、Windowsいずれの環境にも適した完全なサーバソリューションである」と、いつものことだが強気のコメントをしている。
確かに、「MacOS X Server v10.2」はクライアントをほとんど差別しない。クライアントがWindows、UNIX、Linuxのどれであっても、あるいはすべてが混在するネットワーク環境でも。各クライアントにネイティブなファイル共有をはじめ、Apache、WebDAV、POP、IMAP、FTP、QuickTime Streaming Server、DNS、DHCPのクロスプラットフォーム対応サービスが利用できる。ただし、今回新たに追加された機能である「NetBoot」などいくつかの機能は、Macクライアントでしか動作しないというほんの小さな欠点はある。
ちなみに、「NetBoot」とは、複数のMacクライアントを個々のローカルドライブではなくネットワーク経由で起動し、1台のコンピュータから集中管理を行う機能である。例えば、教育現場で教員が生徒のPCを一括集中管理するのに適した機能だ。
このほか、今回追加された機能の代表例としては「NetInstall」がある。MacOS X、アプリケーションまたはアップデータなどをネットワーク経由で、複数台のコンピュータに対して自動的にインストールできる機能である。
SOHO規模の企業におけるIT管理者や部門管理者がクライアントを管理するには「Workgroup Manager」が役立つかもしれない。任意のLDAPv3ディレクトリサーバを利用してユーザー、グループ、コンピュータなどの集中管理を可能にする管理ソフトである。同時に「Open Directory」を活用すれば、セキュリティ保護されたパスワードサーバを内蔵するLDAPv3のディレクトリサーバ機能によりセキュアな環境を構築できる。
映像、音声などの非構造化データを社内(あるいは社外)に向けて発信する必要性がある場合には、「QuickTime Streaming Server 4」および「QuickTime Broadcaster」がある。QuickTimeコンテンツのMPEG-4フォーマットによる取り込みとエンコードを行い、インターネットを通じた配信やライブストリーミングを実現する。
「MacOS X Server v10.2」はもちろん、Webサービスにも対応をしている。
これらの機能を見ると「MacOS X Server v10.2」は、SOHO規模や企業の部門単位、あるいは教育機関向け、つまり小中規模グループを管理するサーバOSとしては、充実した機能を搭載した小回りのきくOSであることがわかるだろう。価格も10クライアントライセンスが5万9800円、無制限のクライアントライセンスでも9万8000円という低価格を実現している。
2002年度第3四半期を下方修正したとはいえ、アップルはいまだ黒字を続けている企業である。着実に利益を出すには、自分たちが得意とする市場とその範囲を明確に理解することから始まる。MacOS X Serverがメインフレーム市場を狙わない限り、当分大きな踏み外しはないだろう。
(編集局 谷古宇浩司)
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