BtoB調達市場、EDIのニーズはいまだ根強く
2002/8/7
アイ・ティー・エックス代表取締役社長 横尾昭信氏 |
同サイトは、神戸製鋼の調達ノウハウを基本に構築した。ITX代表取締役社長 横尾昭信氏は「『tradefield』はユーザー同士がこれまでのノウハウを積み上げて構築した商取引サイトである」とし、特定市場の電子商取引サイトとしての優位性を強調する。
商業稼働は11月から。システムの使用容量に応じて、バイヤ会員から年間60〜600万円、サプライヤ会員からは年間1万2000〜12万円の課金を行う予定。同社では2006年までにバイヤ約150社、サプライヤ約1万社の登録を見込んでおり、10億円の売り上げ、株式上場を目指す。
n対n型取引の主な対象はポンプ、バルブなどの設備を含む機器、予備品および製缶などの加工品である。機器、予備品は11月までに10品目、2004年までに約50品目に取引を拡大する予定。
2002年2〜4月までの3カ月間に行ったシステム検証で、参加企業約20社の中核となった神戸製鋼、花王、日立電線、日立プラントなどが新規取引先を開拓し、ポンプ、バルブでは10〜15%、加工品では約20%の調達コストを削減した、という結果が出た。この結果、3社は、これまで主流だったMRO(Maintenance、Repair and Operations:カタログ品)のn対n型取引に対し、見積り業務が複雑で高価格な「仕様品」「設備品」に関するn対n型取引実現の可能性が高まったとの認識を示している。
1対n型取引では、品目無関係に既存の取引先すべての登録を推進する。バイヤは従来の取引を「tradefield」に登録し、社内複数部門で同時に利用することで、社内情報の蓄積、共有、情報伝達の効率化などWeb-EDIと同等の効果を得られるという。
神戸製鋼を中心とした資機材調達市場を巡る電子商取引の環境は、「実際、進んではいない」(神戸製鋼)のが実情で、従来から導入されていたEDIシステムの使用率についても「バイヤ、サプライヤにもよるが、頻繁に稼働しているのは全体の3割にも満たないのが現状」(同)だという。今回、ITXをはじめとした3社の取り組みは、調達取引を電子化することによる効率化の追及が最大の眼目なのだが、その背景には、電子化に遅れを取る周辺業界の業務電子化のけん引にある。Webサービスの導入はまだまだ先のことになりそうだ。
(編集局 谷古宇浩司)
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