企業ユーザーが後押し、無線LAN機器市場は4年後に1000億円規模に
2002/8/24
IDCのコミュニケーションズ リサーチマネージャー 三島俊洋氏 「公衆無線LANにはローミングやセキュリティの問題があるが、解決できれば急激に伸びる可能性がある」 |
調査会社IDC Japanは、国内の無線LAN機器市場が2006年に約1000億円に迫るとの予測を発表した。関連機器の出荷も500万台弱となり、コンピュータ関連市場で大きな位置を占めることになりそうだ。
同社の予測によると2006年の無線LAN機器の出荷金額は956億円で、関連機器の出荷台数は487億台に達する。2001年の出荷金額が272億円だったので、5年で3.5倍以上に成長することになる。2006年まで出荷台数ベースで年平均成長率が35.3%、出荷金額ベースでの成長率は、普及にともない機器の価格が下がることから、28.6%増という。
無線LAN市場は、現在は企業内利用が中心を占めており、出荷金額ベースで企業が約6割となっている。だが、今後は公衆の無線LANサービスが急増することが予測されるため、2006年には公衆無線LANは出荷金額ベースで企業内使用とほぼ同じ4割程度まで成長するという。逆に、家庭内での利用は利用ユーザー自体は増えるが機器の価格が低下するため、出荷金額ベースではシェアを落とすと予測している。
無線LAN機器の市場予測。IDCは2006年に出荷金額で956億円、出荷台数で487万台に達すると予測している |
ちなみに、同社が218社を対象に調査したところ、企業内での無線LANを「現在使用している」と回答した企業は31%。「今後1年間に導入計画あり」と「使用を検討中」を合わせると、7割近くの企業が無線LANを使用、または使用を検討していることになる。
無線LANの規格に関しては、現在主流の最高11Mbpsで通信ができる2.4GHz帯の「802.11b」が70%となっている。5GHz帯の電波を使用する「802.11a」は現状で1%に過ぎないが、同規格は通信速度が最高54Mbpsと高速なこともあり、2006年には、出荷台数で802.11a対応製品と802.11b対応製品がほぼ並ぶと予測している。
世界市場では、5GHz帯対応製品は日本と比較して急激に成長し、2005年にも2.4GHz帯の対応製品を出荷金額で追い越すと予測という。
無線LANの周波数帯別の市場予測。現在はほとんどが2.4GHz帯の製品だが、2006年には5GHz帯の製品がほぼ肩を並べるまで成長するという (クリックすると拡大します) |
一方、無線LANを「導入予定」と回答した企業に採用予定の無線LAN規格を調査したところ、「802.11b」と回答したのは40%。46%の企業は、「どの規格を選ぶか決めていない」という。IDC コミュニケーションズ リサーチマネージャー 三島俊洋氏は「規格を決めていない企業がどの規格を選ぶかが、今後の市場を占う鍵になる」と話している。
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