[第6回EJBフォーラム開催]
データアクセスに特化した、J2EEデザインパターンの適用例

2002/9/4

「第6回EJBフォーラム」の様子。参加者は熱心に聞き入っていた

 9月3日、「第6回EJBフォーラム」がコクヨホールで開かれた。今回のテーマは「パフォーマンスHints&Tips」。EJBフォーラムのパフォーマンス研究会で作成中のテクニカルレポートをベースに、研究会の活動報告が行われた。講師として、日立ソフトウェアエンジニアリングの紀平篤志氏(「Webアプリケーションのパフォーマンス向上テクニック公開」)やトスコの竹下直氏(「データアクセスに特化したJ2EEパターン」)、富士通の藤川亮子氏(「Javaプログラムのレビュー支援機能適用」)が参加した。

 合計5つのセッションが行われたが、このうち目を引いたのが、トスコの竹下直氏による「データアクセスに特化したJ2EEパターン」に関する講演である。

 サン・マイクロシステムズのBluePrintsでは、実績のあるアーキテクチャデザインを、デザインパターンとして再利用することを推奨している。Webアプリケーション開発に適用できる代表的なデザインパターンには、MVC(モデル・ビュー・コントローラ)があるが、サンでは、J2EE独自のパターンとして、Business Delegate(ビジネス処理代理)、Composite View(複合ビュー)、Command、Data Access Object(DAO)、Front Controller、Intercepting Filter、Service Locator、Session Facade、Value Object(値オブジェクト)、View Helperパターンを、J2EEベースのエンタープライズアプリケーション開発に適用するように推奨している。

 講演を行った竹下氏はさらに開発要件を絞り込み、データアクセスに特化した場合に適用できるJ2EEパターンの紹介と適用例、および実際の利用段階における考慮点などを解説した。

 竹下氏は、データアクセスに関連したパターンには、Value Object(値オブジェクト)、Composite Entity(コンポジット・エンティティ)、Value List Handler(バリュー・リスト・ハンドラ)があるとする。これらのパターンを適用して、システム構築を行った結果、「Value Objectを利用することで、リモートメソッドの呼び出し回数が減少した。Composite Entityに関しても同様。今回の確認では、読み込み検索での結果のみだが、パターンを踏襲した実装でのパフォーマンス向上は可能」との結論を発表した。

 このことは数値上でも明らかで、パターン未適用の場合のリモートによる読み込み検索時間は平均92秒だったのに対し、Value Objectを適用した場合は23秒、Composite Entityを適用した場合は1.5秒程度と、劇的に変化したテスト結果も公表した。

 実際にパターンを利用する際の注意点として、竹下氏は、設計/開発初期段階から適用個所を考慮する、開発メンバ内でのパターンに関する知識の共有の必要性、適用が簡単なパターンで実際に利用する、実際に検証してみて有用性を確認する、などの注意事項を挙げた。

(編集局 谷古宇浩司)

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