ベリタスもユーティリティ戦略、ハードベンダとの違いは?

2003/7/16

 ベリタスソフトウェアは、必要なときに必要なコンピュータ・リソースを使えるユーティリティ戦略を実施すると発表した。第1弾としてパフォーマンス管理製品を発表。ユーティリティ戦略は、IBMやヒューレット・パッカードなどハード、ソフト、サービスを手がける総合ベンダが先行している。ベリタスはさまざまなプラットフォームに対応するソフトベンダとして、ヘテロジニアス環境に強いことをアピールし、戦略を実行する考えだ。

ベリタスソフトウェアの代表取締役社長 木村裕之氏

 ベリタスの代表取締役社長 木村裕之氏は、「ハードベンダが推進するユーティリティ戦略が多いのが現状。しかし、他社の製品も含めてさまざまなハード製品が使えるようなデータ・マネジメントのソリューションでないとユーティリティ戦略はうまくいかない」と指摘。「ベリタスがユーティリティ戦略の現実的な解を出す」と述べた。ベリタスは今年初めにマルチプラットフォーム対応を宣言。同じGUIやコマンドで、SolarisやAIX、HP-UX、Windows、Linuxに対応するベリタス製品を使えるようにしてきた。木村氏はこのマルチプラットフォーム戦略を基盤にすることで、「具体的なユーティリティ戦略のソリューションを提供できる」という。

 ベリタスがユーティリティ戦略に基づき今回発表したのは、サーバやアプリケーションのパフォーマンス管理を行うソフト「VERITAS I3」(ベリタス・アイキューブ)。6月末に買収を完了した米プリサイス・ソフトウェア・ソリューションズの「APM」(アプリケーション・パフォーマンス・マネジメント)製品をベースに開発した。サーバやデータベース、ビジネス・アプリケーションのレスポンスタイムを監視。レスポンスタイムが設定したしきい値よりを超えると、アラートを発する。運用中のシステムだけでなく、システム構築前のシミュレーションや、システム拡張のための検証にも利用できる。

 ベリタスのビジネス開発本部 シニアマネジャー 伴野満利氏は、VERITAS I3について「顧客満足度を向上させる製品。SLA(サービス・レベル・アグリーメント)に準拠したサービスを提供することができる」と説明した。7月から順次出荷している。

 もちろん、VERITAS I3だけではベリタスのユーティリティ戦略が完成するわけではない。ベリタスの米本社は今年第3四半期にサーバ・リソースの自動プロビジョニングを行う「VERITAS OpForce」を発表予定。VERITAS OpForceは、VERITAS I3が発したアラートを基に、パフォーマンスが低下したサーバやアプリケーションに別のサーバのリソースを割り当てることができる。Windows、Linux、Solarisをサポートし、サーバ・リソースのプールを作成。アプリケーションに対して、サーバ・リソースの論理的な割り当てや解除ができる。国内での発表時期は未定。

 ベリタスは7月1日にストレージリソースを管理する「VERITAS StorageCentral」を発表。2003年中には、SLA管理機能があり、ユーティリティ環境でのユーザー課金などに対応した「VERITAS Service Manager」を米国で出荷予定となっているなどユーティリティ戦略に基づく製品を今後も出荷する予定で、ハードベンダが推進するユーリティティ戦略との違いを鮮明にしていく。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
ベリタスソフトウェアの発表資料(その1)
ベリタスソフトウェアの発表資料(その2)

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