「日本のSI、ベンダの悪いところは……」、ユニシス社長
2003/10/30
日本ユニシスは、イトーヨーカ堂 代表取締役会長 最高経営責任者 鈴木敏文氏ら著名企業経営者と、大学教授が参加する「顧客価値創造経営アドバイザリー・コミッティー」を設置し、経営課題を抱える企業に対して問題の解決策を提案すると発表した。コミッティーで議論されたメッセージを社内外に発信し、日本ユニシスの上流工程の提案力強化につなげるという。
日本ユニシス 代表取締役社長 島田精一氏 |
ユニシスは、今年6月にビジネス・イノベーション・オフィスを設置。外部から経営コンサルタントを入社させ、顧客企業に対する上流工程の提案に力を入れている。8月には顧客企業に対して、ITだけでなく経営課題の解決策を提案する社内の認定制度「Trusted Advisor」を発足させた。すでに22人のTrusted Advisorが認定を受け、活動している。顧客価値創造経営アドバイザリー・コミッティーも、議論の結果を社内にフィードバックし、顧客企業への提案力を強化する狙いがある。
ユニシスが上流工程を重視する背景には、同社代表取締役社長 島田精一氏が考える「日本のシステム・インテグレータ(SI)、ベンダの悪いところは、道具を与えるだけで、使うのは顧客任せという姿勢。SI、ベンダは顧客企業の中長期的なパートナーとしてやっていく姿勢でないと未来がない」という認識だ。どの業種でも、ITの活用が企業の競争力に直結するいまの状況では、「提案書を出す前に、経営戦略とIT戦略を連携させて上流工程から考えられるコンサルタントが不可欠」という。
ユニシスの代表取締役社長に就任する前、島田氏は三井物産でCIOを務めていた。そのため、顧客企業の立場と、SIの立場の双方に理解がある。島田氏は三井物産のCIO時代を振り返り、「ベンダは製品やサービスの話をするだけだった。しかし、顧客企業としては個々の製品や技術でなく、競合他社との差別化や、競争力の強化にしか興味がなかった」と指摘した。2001年に社長に就任した島田氏は、ユニシスが「顧客企業の業務をシステムに置き換えることに一生懸命になり、技術的なことばかりしていた」と感じたという。そのため、島田氏はユニシス社長就任後、経営方針として「Re-Enterprising」を発表し、経営戦略を含めて企業にITを提案できる上流工程提案力の重要性を訴えてきた。
アドバイザリー・コミッティーはイトーヨーカ堂の鈴木氏のほかに、NTTコミュニケーションズ 代表取締役社長 鈴木正誠氏、トヨタ自動車 専務取締役 松原彰雄氏、慶応大教授の國領二郎氏ら10人が参加する予定。島田氏も座長として参加する。11月27日に第1回の定例会を開く。今後、年2〜3回の予定で定例会を行い、企業経営とITについて問題提起や解決策の提示を行っていく。
(編集局 垣内郁栄)
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日本ユニシスの発表資料
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