「.NETを使えば、けっこうもうかる」の真意は?

2004/5/29

 5月27日に開催されたマイクロソフトのISV向けイベント「第2回 Microsoft Application Development Conference」において、.NETを利用したビジネスをどのように拡大するか、というテーマでディスカッションが行われた。パネリストの1人として口火を切った日本ユニシスの尾島良司氏は、.NET Frameworkを使った案件で「大規模、基幹業務が増えてきた」と、.NETによる企業向けのシステム開発が本格化しているとし、「.NETを使えばけっこうもうかる」との発言で会場を沸かせた。

ディスカッションの参加者は、左からアットマーク・アイティ 藤村厚夫氏、日本ユニシス 尾島良司氏、アルゴシステム創研 勝藤彰夫氏、マイクロソフト 安藤浩二氏、デジタルアドバンテージ 小川誉久氏

 尾島氏によると、.NETの利点は使い勝手のいいフレームワークがマイクロソフトによって標準化されている点にあるという。「.NET Frameworkには、JavaのJ2SE、J2EE、そしてStrutsのようなフレームワークが標準化された形で統合されている」(尾島氏)。これが開発工数の削減と生産性の向上につながり、結果的に安いコストでシステム開発ができるという。開発コストが抑えられる分、開発会社にとっての利益率は高まり、また納期も短くなるといった利点が生まれる。「Javaでは製品ごとに細かい部分やフレームワークが変わってしまい、いま考えると大変だった」(尾島氏)。

 開発生産性の向上という点では、開発方法論の部分も重要になってくる。マイクロソフトが独自の開発方法論を提供するか、というモデーレータ 藤村厚夫氏の問いに対してマイクロソフトの安藤浩二氏は、「マイクロソフトが独自の開発方法論を提供することはない。UMLや(日本ユニシスの)Lucinaといった、標準的な開発方法論に対して、それを製品でサポートしていくようなことを考えている」と答えた。

 一方、アルゴシステム創研の勝藤彰夫氏は、単にコストを下げるための競争はすでに一巡しているとして、ビジネスをよりよくするという点にフォーカスが移ってきているとの意見だ。「開発は(フレームワークや方法論で)楽になってきているし、オフショア開発などで競争にならなくなってきている面がある」(勝藤氏)。今後、ソフトウェア開発でビジネスチャンスをつかむには、システム設計の技術を高めてRFPを書く手伝いをするなど、顧客と一緒に顧客のビジネスを成功させる方法について力をつけることが重要ではないか、とした。

(編集局 新野淳一)

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