電子メールアドレスを公開鍵にすると何がよくなる?

2004/6/24

 三井物産は電子メールアドレスを公開鍵に利用する米Voltage Securityの電子メール暗号化ソフト「Voltage SecureMail Ver.1.3.5 日本語版」を発売したと6月23日に発表した。中小規模企業向けにVoltage SecureMailを使ったASP形式の電子メール暗号化サービスも8月に開始する。

三井物産の情報産業本部 セキュリティビジネス室 マーケティンググループマネージャー 新井一人氏

 三井物産は2003年11月にVoltage Securityと独占販売契約を結び、英語版製品の国内出荷を開始した。日本語版の発売を機に営業活動を本格化させる。三井物産の情報産業本部 セキュリティビジネス室 マーケティンググループマネージャー 新井一人氏は「ユーザー間で公開鍵を交換する必要がなく、暗号を意識せずに電子メールをやりとりできる」と述べ、使いやすさをアピールする考えを示した。

 Voltage SecureMailは、電子メールアドレスを公開鍵に利用する新方式「Identity Based Encryption」(IBE)を利用。暗号メールを送信する場合は、電子メールクライアントにVoltage SecureMailのプラグインをインストールする。送信したい相手の電子メールアドレス(公開鍵)を使って電子メール本文や添付ファイルを暗号化。その際、鍵を管理するサーバーの「Voltage SecurePolicy Suite」にアクセスし、送信相手が登録されたユーザーかどうかを確認する。

 暗号メールはサーバのVoltage SecurePolicy Suiteを経由せずに、通常のネットワークを使って送信する。受信者は電子メールクライアントにVoltage SecureMailのプラグインをインストール。暗号メールを復号する前にVoltage SecurePolicy Suiteにアクセスし、本人認証をして秘密鍵を取得する。取得した秘密鍵を使って暗号メールを復号する。プラグインをインストールしていないユーザーが暗号メールを受信した場合は、Voltage Securityが用意したWebサイトにアクセスし、電子メールの本文を確認できる。

 新井氏はVoltage SecureMailの特徴を「電子証明書や失効リストの管理が不要でシステム構築コストを軽減できる」と説明。ユーザー同士で公開鍵を交換する必要がなく、電子メールクライアントから利用できることからユーザー教育なども不要と述べた。価格はVoltage SecurePolicy Suiteと、250ユーザー分のクライアントライセンスが付属する「SecureMailスターターパッケージ」が480万円からとなっている。2004年度に15社の導入を目指す。

 三井物産は中小規模企業向けにASP形式でVoltage SecureMailのサービスを提供する「暗号メールASP」も8月2日に開始する。Voltage SecureMailのサーバ設置や設定、運用管理を三井物産が行うため、ユーザーはインフラ構築コストや運用管理コストを負担する必要がない。価格は1ユーザー当たり月800円で、15ユーザーから利用できる。三井物産は法律事務所や特許事務所など機密性が高い電子メールのやりとりが求められる企業をターゲットにする方針で、100社、2500ユーザーの獲得を目指す。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
三井物産の発表資料(PDF)

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