見えてきたコンテンツ管理ソフトの方向性
2004/9/1
「エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント市場は2006年にもスイート製品を出荷する大手ベンダと、特定の業種・業務に特化した少数のプレーヤーに集約される」。8月31日に開催されたセミナー「Content Management Forum 2004」(主催:IDGジャパン)で講演したアイ・ティ・アール 代表取締役 兼 META Groupアナリスト 内山悟志氏はこう述べて、コンテンツ市場の先行きを説明した。
アイ・ティ・アール 代表取締役 兼 META Groupアナリスト 内山悟志氏 |
企業で扱うドキュメントがITシステムの導入で急増している。これまではアプリケーションごとに扱うドキュメント、コンテンツがある程度は決まっていて、手作業でも管理ができていた。しかし、業務で利用するアプリケーションが増えることでコンテンツの量だけでなく、種類も増加した。また、Webサイトで情報を提供することが一般的になり、外部に対してコンテンツを整理して公開する必要性も増している。さらに法規制の強化などで正確な情報を正しいタイミングで出すことも求められている。
これらのコンテンツに関する要件を手作業や紙ベースでこなすのは難しい。そのため「一元的にコンテンツを管理し、ワークフローを自動化するニーズが出てきている」と内山氏は説明する。
内山氏はコンテンツ管理市場の今後の動向として2つの方向性を示した。1つはWebコンテンツ管理と、企業全体のコンテンツを管理するエンタープライズ・コンテンツ管理の統合だ。Webコンテンツ管理とはWebサイト作成に特化したシステムで、コンテンツの作成機能のほかにコンテンツの配信やセッションのトラッキング、容量管理、インターフェイス作成などの機能を持つ。
一方、エンタープライズ・コンテンツ管理は企業全体の構造化、非構造化のコンテンツを対象にその作成や履歴管理、バージョン管理、セキュリティ、公開などの機能を持つ。現在ではWebコンテンツ管理とエンタープライズ・コンテンツ管理は別々の製品として提供されることが多いが、この2つは近く統合されるというのが内山氏の考え。「Webコンテンツの元ネタは企業内にある。より広範なワークフローの構築が必要となり、エンタープライズ・コンテンツ管理との統合が進む」としている。
もう1つの方向性はコンテンツ管理のサプライチェーン化だ。コンテンツ管理ソフトは、ライフサイクルによる管理を特徴とするケースが多い。コンテンツ管理のライフサイクルとは、コンテンツの作成から変更、編集、承認、配布、保管という一連の流れを通じて適切に管理しようという考え。強固なセキュリティ機能を搭載し、従業員の共同作業を可能にする機能を備える製品も多い。コンテンツ管理のサプライチェーン化とは、このライフサイクル考えを発展させ、パートナー企業、企業内、顧客とビジネスの流れに応じてコンテンツを適切に管理しようという考えだ。内山氏は「モノが流れると同時に情報が流れる」と述べ、「コンテンツのライフサイクル管理をより拡大したコンテンツのサプライチェーン管理の考えが求められる」と指摘した。
(編集局 垣内郁栄)
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Content Management Forum 2004
アイ・ティ・アール
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