IE 7 ベータ版を今夏リリース、MSが日本でも発表
2005/3/17
マイクロソフトは3月16日、同社のセキュリティ戦略を説明する「SECURITY SUMMIT 2005」を横浜で開催し、Webブラウザの新版「Internet Explorer 7.0」(IE 7)のベータ版を国内でも今夏に提供開始すると明らかにした。マイクロソフトはスパイウェアをブロックするソフトウェアなどセキュリティの新規ソフトウェアを2005年に相次ぎ投入する予定で、製品のカバー分野を大きく拡大する。
IE 7についてはマイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏が今夏にベータ版をリリースすると発表していた(@IT記事参照)。
マイクロソフトのセキュリティ戦略グループ マネージャ 吉川顕太郎氏はIE 7について「技術情報をお伝えできる段階ではない」としながらも、「Windows XP SP2のフィードバックを盛り込み、さらにセキュリティ機能を搭載する」と説明。具体的には「スパイウェアや悪意あるソフトウェア、フィッシング詐欺などの脅威に対してより強力な保護機能を実装する予定」と述べた。吉川氏は「保護機能を搭載しながらも、拡張性と互換性は維持する。このトレードオフのバランスを取るための開発をしている」と話した。
米マイクロソフトのSecurity Business&Technology Unit シニア・ディレクター ジョージ・スタタクポーラス氏 |
マイクロソフトはソフトウェア開発の各工程でセキュリティを考慮した開発を行う「Security Development Lifecycle」(SDL)を行っている。米マイクロソフトのSecurity Business&Technology Unit シニア・ディレクター ジョージ・スタタクポーラス(George Stathakopoulos)氏によると、Windows 2000 Serverと、SDLの基で開発されたWindows Server 2003を比較した場合、出荷後1年以内に報告された脆弱性の数は、Windows 2000 Serverが42だったのに対して、Windows Server 2003は13だったという。発見される脆弱性の深刻度も低下しているといい、スタタクポーラスは「SDLがうまく機能している」と、自信を見せた。
マイクロソフトはセキュリティ技術を持つ企業の買収で、セキュリティ関連製品のラインアップを広げている。2004年12月に買収したGIANT Company Softwareの技術を使い、マイクロソフトはスパイウェア対策ツール「Microsoft Windows AntiSpyware」を開発。現在ベータ公開中で、吉川氏は「2005年中には提供したい」と語った。Microsoft Windows AntiSpywareはスパイウェアの検出、削除と、Webブラウザやレジストリの設定を無断で変更されることの防止などの機能がある。スパイウェアを検出するための定義ファイルは、GIANT Company Softwareが組織したコミュニティ「SpyNet」が開発している。SECURITY SUMMIT 2005ではMicrosoft Windows AntiSpywareのデモンストレーションも行われた。
マイクロソフトが買収で取り込んだもう1つの技術は、ウイルス対策技術。2月9日に買収する方針を明らかにしたSybari Softwareの技術だ。Sybariのウイルス対策製品「Antigen」は、複数のウイルススキャン・エンジンを同時に稼働させるアーキテクチャが特徴。新しいウイルスが発生した場合は、複数のスキャン・エンジンのうち、定義ファイルが早く更新されたエンジンが対処する。Antigenの技術はフットプリントが小さいのも特徴で、吉川氏は「サーバ製品の負荷が少ない。Sybariの技術を取り込むことでウイルスとスパムに対抗するサーバサイドの技術を提供できる」と説明した。吉川氏はSybariの技術を取り込んだ新製品のリリース時期を明らかにしなかったが、マイクロソフトが示した製品ロードマップによると2006年以降になるとみられる。
マイクロソフトの直近のフォーカスは、近くリリースされるとみられる「Windows Server 2003 Service Pack 1」(SP 1)。SECURITY SUMMIT 2005では、SP 1と3月1日に発売したファイアウォール製品「Internet Security and Acceleration Server 2004 Enterprise Edition」を組み合わせたネットワーク検疫サービスをデモ。SP 1の新機能である「セキュリティ構成ウィザード」のデモも行い、来場者にアピールした。
(@IT 垣内郁栄)
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