「危機感を持って」テンプスタッフ・テクノロジーがITSS導入

2005/4/27

 テンプスタッフ・テクノロジーは、ITSS(ITスキル標準)を基盤とした人材育成システムの構築を開始すると発表した。主に社内エンジニアの育成に活用する。構築には日本オラクル、スキルスタンダード研究所が協力する。

テンプスタッフ・テクノロジー 取締役 SI事業部長 藤崎貴司氏

 テンプスタッフ・テクノロジーのITSS導入の背景には、同社のSI事業への本格参入がある。テンプスタッフ・テクノロジー 取締役 SI事業部長 藤崎貴司氏によると、SI事業に携わる正社員としてすでに140人近いエンジニアを採用しており、今年も50人以上を採用する予定だという。エンジニアを評価・育成するために、社内独自の基準ではなく、客観的かつ業界に浸透しているスキル基準の必要性が高まってきた。そこでITSSを基盤とした人材育成システムの構築を決定した。

 ITSS導入の目的について藤崎氏は、「技術者の育成。これに尽きます」とした。2〜3年後をめどに派遣スタッフ層への展開も考えているという。今回構築するシステムによって、エンジニア個人の視点ではスキルレベルの把握、キャリアプランの構築と実現ができる。会社の視点では事業戦略に沿った人材育成計画の構築、適切な人材開発投資の実現ができ、それによって競争力の維持と業績の向上を目指すという。

 スキルスタンダード研究所 代表取締役社長の高橋秀典氏は、企業の経営戦略に合った人材育成の必要性を強調する。今回のシステムのイメージでは、ITSSのフレームワークに社内のエンジニアのスキルをマッピングすると、該当する職種・レベルに達成者の人数が表示され、全社的にみてどの分野が弱いかがわかる。エンジニアごとのキャリアパスの定義も可能で、次の目標レベル到達のために何が必要かも一覧で表示できる。

 高橋氏は、中国・インド・ベトナムなどで質の高いエンジニアの参入が進む中、日本のITベンダのITSSへの理解不足や安易な取り組みに警告を発する。「ITベンダにはまったく危機感がない。ユーザーの方がよほど自社のIT戦力について危機感がある。テンプスタッフ・テクノロジーは非常にまれな例」と語った。

(@IT 長谷川玲奈)

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テンプスタッフ・テクノロジーのリリース

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