電力線通信はパワードコムで花開くか? 法人向け参入を検討
2005/5/25
パワードコムの代表取締役社長兼CEO 中根滋氏は5月24日、オフィスや家庭内の電力線を使って通信する電力線通信(PLC)について、「規制が緩和されれば法人向けを対象に参入を積極的に検討したい」と述べ、電力系という自社のメリットを生かしてビジネス展開を探る考えを示した。中根氏は「PLCは200Mbpsの通信が可能」と説明し、LANの構築が困難な企業に対して、インフラサービスのオプションとして提供すると述べた。
パワードコム 代表取締役社長兼CEO 中根滋氏 |
中根氏は5月24日に開幕したパワードコム主催のイベント「POWEREDCOM FORUM 2005」で講演し、企業の情報システム部がネットワークをメンテナンスする現状を変革して、ネットワークのリソースをサービスとして利用できる「ネットワークのユーティリティ化」が重要と訴えた。PLCはネットワークのユーティリティ化を進めるためのサービスの1つ。中根氏はほかに無線LAN技術のWiMAXなども研究していると説明した。
しかし、PLCは漏えい電磁波の問題などが指摘されていて、規制が緩和されるかは不透明。総務省は現在「高速電力線搬送通信に関する研究会」を設けてPLCの実用化について議論している。2005年10月をめどに報告書を出す予定だが、パワードコムが望む形で認められるかは分からない。東京電力は2004年8月からPLCの実験を行っていて、最大で200Mbpsの通信を実現しているという。
パワードコムは既存のインターネット接続サービスのオプションとしてPLCの提供を検討する。オフィスの手前までは光ファイバなど既存のインフラを利用し、PLCはオフィス内だけで利用することを想定。中根氏は「LANが敷設されておらず、無線も利用できない場所でも電力線は引かれている」と説明した。当初の提供は法人が対象。ただ、PLCの収益モデルなど正式参入には課題が多いとの認識で、慎重に検討するとしている。
また、中根氏はネットワークのユーティリティ化を進めるために同社の広域イーサネットサービス「Powered Ethernet」に、ファイアウォールの運用を顧客企業から引き受けるサービスや、Powered Ethernet上にIP-PBXを設けて、企業内で運用しているアナログ電話のPBXを統合するサービス、Powered Ethernetと無線LANのアクセスポイントを連携させるサービスなどを今後追加する考えを示した。「Powered Ethernetはこの3つのサービスを標準装備するようにしたい」(中根氏)。
これまで企業の情報システム部が担当していた業務をパワードコムが引き受けることで、運用管理のコストを低減することを目指す。マネージドサービスともいえるが、中根氏は「他社のマネージドサービスはインフラのお守り。パワードコムはサービスレベル保証(SLA)、アプリケーションレベル保証(ALA)を定義したうえで、サービスとしてインフラの運用管理を提供する」と説明した。
(@IT 垣内郁栄)
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