IT投資の勝ち組へと導くテクノロジコンサル

2005/6/17

 アクセンチュアは6月16日、IT主導でビジネスの変革を実践する「テクロノジー・コンサルティング」を新しいビジネスの柱として位置付けると発表した。これは、「コンサルティングの上流過程において、テクノロジーがビジネスにどのような影響を与えるか」を見極めるもの。同社はこのテクロノジー・コンサルティングに主軸を移していく方針だ。

アクセンチュア テクノロジー&システムインテグレーション統括パートナー 宇佐見潮氏
  同社によると、1990年代初頭から現在まで「1人1台PC」や「ERP」「eコマース」といった何らかのIT投資ブームがあったと指摘。これらのブームが去ったあとには膨大なIT不良資産が残った。具体的には、現在のIT資産のうちの3分の1が不良資産となり、約4.5兆円に達しているという。このような現状で、IT投資に成功した“勝ち組”と失敗した“負け組”に大きく分かれてきていると分析している。アクセンチュア テクノロジー&システムインテグレーション統括パートナー 宇佐見潮氏は、「同じ金額を投資しても、成果には大きな差がでてきてしまっている」と指摘した。

 このような状況を踏まえて、同社が2004年に世界の主要企業のCIOに調査を行ったところ、IT投資に成功している企業には5つの投資の仕方が存在したと分析。それは、「維持経費が少なく、戦略投資が多い」点や、「情報検索力の優秀さ」「情報連携範囲が広いこと」「ソフトウェアの産業革命」「情報技術革新」だという。宇佐見氏は、「製品開発などの投資には積極的だが、そのテクノロジーをいかにビジネスに結び付けるかという点においてはまだまだな印象を受ける。今後はテクノロジーをビジネスに有効活用できるかどうかが勝ち組と負け組を分けるだろう」と語った。

GPSが埋め込まれた腕時計。子供に持たせておけば、Webサイト上から子供の現在位置を確認できるという
  アクセンチュアでは、従来のコンサルティング業務を、上流過程はビジネスコンサルティング、下流工程はシステムインテグレーションと分類。上流過程は経営戦略などがメインであり、下流工程はテクノロジ寄りな提案などが多かったと分析。上流過程におけるテクノロジコンサルティングの分野が抜けていたという。このことから、「コンサルティングの上流過程において、テクノロジーがビジネスにどのような影響を与えるか」を提案するテクロノジー・コンサルティングに力を入れていく。具体的には、宇佐見氏の直下に100名程度のテクノロジー専門コンサルタントを配置する。また、ソフトウェアやシステム開発などの下流工程も含めて、上流から下流までを一貫して提供していく予定だ。

 このような動きを受けて、同社では「テクノロジーをいかにビジネスへ適用するか」を研究する機関として「アクセンチュア・テクノロジー・ラボラトリー(ATL)」を紹介。ATLは仏ソフィア、米パロアルト、米シカゴの計3拠点に約150人体制で研究を進めているという。説明会場では、各種センサーと通信技術を連動させたバスや、タッチ操作や音声入力など状況に合わせて入力形態を識別できるシステムなどが紹介された。

(@IT 大津心)

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