「技術革新の窓を提供」、ゲイツ氏が産学連携を拡大を表明
2005/6/29
マイクロソフトと、米マイクロソフトの基礎研究所であるマイクロソフトリサーチは6月28日、日本での産学連携の取り組み強化として、共同研究プロジェクトの拡大と大学との提携の推進組織「マイクロソフト産学連携研究機構」(IJARC)を7月1日に設立すると発表した。米マイクロソフトの会長兼チーフソフトウェア・アーキテクト ビル・ゲイツ (Bill Gates)氏は「マイクロソフトリサーチは大学の研究機関とそれぞれの優れたところを組み合わせる。技術革新の窓を提供する」と述べ、日本での産学連携を強化する姿勢を強調した。
米マイクロソフトの会長兼チーフソフトウェア・アーキテクト ビル・ゲイツ氏 |
ゲイツ氏はコンピュータ・サイエンスだけでなく、医療や環境などの研究で「ソフトウェア開発が鍵になる」と指摘し、「学術界との連携を強化する必要がある」と訴えた。そのうえで日本での研究について「この1年、対話をしてきて日本ではユニークな取り組みが大事と考えた」としてIJARCを発表した。「自信を持って今回の発表をしている。個人的にコミットしたい」。
IJARCの取り組みは、従来からマイクロソフトが行っている産学連携と、今回新たに始める共同研究の2本柱。産学連携ではすでに提携している東京大学、早稲田大学との連携を発展させ、インターンシップやフェローシップによる研究者の育成、IT教育の支援や研究資金の提供を実施する。ほかの大学への拡大も検討する。
共同研究では国内の研究者、研究所単位でテーマを選定し、研究支援を行う。研究プロジェクトごとにマイクロソフトリサーチの担当研究員を配置し、研究テーマや研究プロセスに関して大学の研究者に助言を行う。すでに東京大学で、グラフィックスサーチ、ユーザーインターフェイス、自然言語処理についての共同研究プロジェクトが内定している。共同研究プロジェクトの選定は日本の大学研究者からなるアカデミックアドバイザリーコミッティが行う。
ゲイツ氏は日本での共同研究について、「セキュリティがリストの一番上にくるだろう」と述べ、マイクロソフトにとって信頼性向上の課題となっているセキュリティ対策に注力する考えを示した。ゲイツ氏は自然言語理解、音声認識、グラフィックス、ビジュアル・インターフェイスなども挙げた。さらに「ソフトウェア以外でも研究支援をする」として、生物学、環境などの共同研究を進めるとした。
また、マイクロソフトの代表執行役 社長 マイケル・ローディング(Michael Rawding)氏はIJARCの設立について、デジタル家電メーカーとの提携拡大や、携帯電話、デジタル家電などの研究・開発の拡大に並ぶ、「日本での投資を増額する取り組みの1つだ」と述べた。
(@IT 垣内郁栄)
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マイクロソフトの発表資料
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