金融業界向けグリッド検証センターを日本HPが開設

2005/9/30

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、金融機関向けグリッドアプリケーションに関する検証・デモを独立系ソフトウェアベンダ(ISV)やシステム・インテグレータが行うための施設、「HP金融グリッドセンター」を設置すると発表した。

米HP ハイパフォーマンステクニカルコンピューティング バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、ウィンストン・プラサー氏

 11月に提供開始予定のHP金融グリッドセンターでは、東京・天王洲の日本HP本社に置かれている一般的なハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)検証用の同社サーバ群を援用し、最大32台の構成でグリッドシステムを稼働できる環境を用意する。さらに、8台までの構成で小規模な検証が行える環境も、金融向け専用として提供する。OSはLinux(Red Hat Enterprise Server、SUSE LINUX Enterprise Server)およびWindows、グリッド・ミドルウェアとしてはグリッドコンピューティングのPlatform SymphonyとPlatform LSF、およびデータシナプスのGrid Serverが利用できる。

 ISVやシステムインテグレータは、顧客に対するデモを行いたい場合、東京・市ヶ谷のデモセンターからこの環境に接続することができる。また、日本HPの立会いのもとで、HP社外からインターネット経由でVPN接続することも可能。

 HP金融グリッドセンターでは、ISV、システム・インテグレータ、日本HPが、顧客へのデモのほか、国内外のアプリケーションとミドルウェアの組み合わせの事前検証やテスト、アプリケーションサイジング、既存SMPサーバとの性能比較などが実施可能。サーバには、OpteronとXeonをそれぞれ搭載した製品を用意しているため、2つのプロセッサの比較検討も行える。

 「HPC市場は、2005年末時点で80億ドルに達するが、この市場の顧客が求めているのは、オープンな標準とグリッド技術の2つだ。5年前には独自のRISC CPUを利用したソリューションばかりだったが、現在では半数以上がItanium、Xeon、Opteronといったインテルアーキテクチャに基づく製品で動いている。HPはネットワークに接続するものすべてをグリッド対応させるとともに、グリッド関連の各種標準をリードしていく」と、米HPのハイパフォーマンステクニカルコンピューティング バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、ウィンストン・プラサー(Winston Prather)氏は話す。

 金融はグリッドコンピューティングの恩恵を最初に受ける産業分野。米国の大手銀行では数千台の規模でグリッド環境が構築されているが、国内の大手銀行では50〜60台の構成が多く、米国の2〜3年前の状況だという。日本HPは、金融グリッドセンターを通じ、国内の金融業界におけるグリッドの認知度向上と普及を図っていきたいとしている。

(@IT 三木泉)

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日本HPの発表資料

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