MSが「Webホスティング業者に付加価値を与えられる」理由

2005/10/6

 マイクロソフトが、あらためて国内のWebホスティング業者に対する働きかけを活発化させている。同社が世界的に展開しているホスティング業者向けソリューション、「Windows based Hosting」のキラー・アプリケーションであるサイト構築ツールが日本語で利用できる環境を年内にも整備、Windowsプラットフォームへの移行を促進する。

 マイクロソフトは世界的に、低価格業者をメインターゲットとしてWebホスティング業界への働きかけを進めている。同社のWebホスティング市場戦略について10月4日に記者説明を行った米マイクロソフトのデベロッパーマーケティンググループ プロダクトマネージャー、エリック・フィーグラー(Eric Feagler)氏によると、「マイクロソフトは、消費者や中小企業に信頼されているブランド」。これを生かし、インターネットを活用したいが、まだ踏み切れていないような中小企業の取り込みを狙うWebホスティング業者を相手に、Windowsファミリの採用を訴える。

Webホスティング市場の開拓について語った米マイクロソフトのデベロッパーマーケティンググループ プロダクトマネージャー、エリック・フィーグラー氏(左)と、コミュニケーションセンター ホスティングソリューショングループ ディレクター、ジョン・ザンニ氏(右)

 マイクロソフトにとって、最近のWebホスティング市場開拓における武器となっているのが、多機能なWebサイトを簡単に構築できるようにするサイト構築ツール群。マイクロソフトは現在、「DotNetNuke」と「Community Server」を推進している。

 DotNetNukeは、オープンソース・コミュニティによって開発されているASP.NETベースのツールで、Webホスティングサービスのユーザー自身が、HTMLに関する知識がなくとも、掲示板や写真アルバムなどの機能を備えた本格的なWebサイトを短期間に構築することができる。日本語化に関してはマイクロソフトも支援しており、2005年末から2006年初めにかけて作業が終了する見通し。Community Serverは、Windowsサーバ上で簡単にブログ機能を提供できるツール。日本語をサポートしている。無償版もあるが、マイクロソフトは有償版を、販売元のテリジェント・システムズとの契約に基づいてWebホスティング業者に無償で提供している。さらに、SWソフトがWebホスティング業者に提供しているサイト構築ツール、「Site Builder for Windows」(商用製品)を、2006年9月30日まで無償で提供するキャンペーンを行っている。

 低価格Webホスティングといえば、Linuxとホワイトボックスのハードウェアの独壇場だが、フィーグラー氏は、「Windowsは拡張性でLinuxにかなわないという誤解は解けつつある」と主張する。典型的な例として、月額3.95ドルからという安価な共有型ホスティングを中心に提供、約70万のサイトを運用している米国の業者、ゴーダディ(Go Daddy)は、DotNetNukeとCommunity Serverを使ったマイクロソフトの約1年にわたる支援の結果、最低価格帯のサービスにおいてデフォルトのサービスをLinuxからWindowsに移行する決断を下したという。「ユーザーにとってメリットが分かりやすく、使いやすいツールを提供したことで、顧客維持率も、顧客あたり単価も向上させることができた」とフィーグラー氏は話す。

 マイクロソフトはこれまでも、月額従量制が選択可能なサービスプロバイダのためのライセンスプログラムである「Microsoft Services Provider License Program」に、導入コンサルティングや運用支援を含めた活動を通じて、Webホスティング市場の開拓を進めてきた。今後は中小企業ユーザーのためのアプリケーションをさらに強化し、Webホスティング業者を味方にしていきたいという。

(@IT 三木泉)

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