HP、新コンセプトのバックアップ専用サーバを国内発売

2005/10/7

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は10月7日、安価なバックアップ専用サーバを国内提供開始した。製品名は「HP ProLiant Data Protection Storage Server」。同社のNAS(Network Attached Storage)製品である「HP ProLiant DL100/DL380 Storage Server」に、マイクロソフトの「System Center Data Protection Manager 2006」 (DPM 2006)をプリインストールしたものだ。

 DPM 2006も同日発売されたばかりで、事実上この製品が初のプリインストール製品となる。DPM 2006は、サーバ上のデータを別のコンピュータのハードディスク上にバックアップするためのソフトウェア。テープ・バックアップではなくディスク・バックアップに特化し、バックアップというよりも簡便な階層的ストレージ管理に近い使い勝手の実現を狙っている。

 DPM 2006では、まずテープを使わないため、バックアップや復旧の際にメディアの入れ替えや頭出しが不要となり、時間や労力を節約できる。ネットワーク経由でサーバからデータを自動的に吸い上げるため、バックアップサーバは対象となるサーバと物理的に同一の場所にある必要がない。1台のバックアップサーバで複数のファイルサーバのバックアップを行うことも可能だ。さらにファイル単位でなく、バイト単位で差分をバックアップしていくため、バックアップ時間が短縮化される。バックアップの間隔は最小で1時間単位に設定でき、最大64世代まで管理できる。サーバが稼働中でもバックアップが実行できるライブ・バックアップ機能を持っているが、現在のところ、この機能はデータベースなどのアプリケーションに対応していない。スタティックなファイルのみが対象となっている。マイクロソフトでは今後、Exchange ServerやSQL Server、SharePoint Serverなどのライブ・バックアップ機能を提供していくという。

 この製品で特にマイクロソフトらしいのは、エンドユーザーが自分自身でバックアップデータにアクセスし、ヘルプデスクを煩わせることなく自らデータを復旧できる機能。データ復旧の際、エンドユーザーは、エクスプローラで表示されるバックアップデータフォルダにアクセスし、適切なバックアップ日時を選択して、目的のデータをファイルやディレクトリ単位で取り出すことができる。バックアップサーバは、Active Directoryによって管理されるため、エンドユーザーは、自分にアクセス権のあるバックアップデータにしかアクセスできない。

日本HPストレージ・ネットワークス製品本部 プロダクトマーケティング部の瀧澤一彦氏

 DPM 2006では、複数のサーバを1台のバックアップサーバでカバーすることができる。このため、例えば全支店のデータを、インターネット越しに本社のバックアップサーバで集中バックアップすることが可能だ。テープ・バックアップの場合のように、各支店でテープの入れ替えをしてもらう必要がなく、バックアップ作業は完全に自動化される。ライセンス体系はバックアップサーバ1台当たりの「DPM 2006サーバーライセンス」とバックアップ対象サーバ1台当たりの「DPM 2006データ保護管理ライセンス」の組み合わせとなっている。

 HP ProLiant Data Protection Storage Serverは、DPM 2006をプリインストールした状態で提供される。このため、ユーザー企業は、Active Directoryに関する多少の設定を行うだけで、すぐに使い始めることができる。

 新製品は、ハードディスクでバックアップできる総データ容量に応じて、460Gbyte、1.54TB、3.08TB、5TBの4種類のモデルが用意されている。税抜きの標準小売価格は58万円から490万円。

 日本HPはテープ・バックアップ機器では国内ナンバー1を確保しているが、ディスク・バックアップ市場にも早期に参入し、足場を固めたい考えだ。日本HPのストレージ・ネットワークス製品本部、プロダクトマーケティング部の瀧澤一彦氏は、「テープ・バックアップは長期保存にメリットがある」とし、ディスク・バックアップとの併用を顧客に働きかけていくという。

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