アダプテックの製品投入で次世代SCSIは普及期へ
2005/11/10
アダプテックジャパンは11月9日、SAS(Serial Attached SCSI)に対応したホストバスアダプタ1種、RAIDアダプタ2種、関連製品4種を一斉に発表した。これまで国内では、SAS対応のハードディスクやSAS対応コントローラを搭載したサーバ製品は入手できたものの、ホストバスアダプタは出遅れていた。アダプテックによる今回の新製品投入で、必要なコンポーネントが出そろったことになり、SASの普及に弾みがつきそうだ。
SASは、ハードディスクドライブ用インターフェイスとして現在広く利用されているパラレルSCSIをシリアル化したもの。パラレルSCSIのコマンドセットをそのまま継承しながら、クロストークなどの問題を回避でき、デイジーチェーンではなくポイント・ツー・ポイントの接続形態であるため配線がしやすい。100台以上のディスクで構成された大規模なストレージ・システムが構築可能だ。SASコネクタはシリアルATA(SATA)コネクタの上位互換で、SASホストバスアダプタにSASディスク、SATAディスクの双方をつなげることができるのも重要な特徴の1つだ。
本社のワールドワイド・セールス担当VPでアダプテックジャパン社長も務めるジョンソン氏 |
アダプテックは、SASを推進することで、現在ファイバチャネルが支配的なハイエンド・ストレージ市場の一部を取り込み、同社の企業ストレージ・ビジネス拡大をねらう。
「シリアルの技術としては、ファイバーチャネルが存在しているが、複雑でコストが高く、機器間の互換性にも問題がある。SATAは低コストだが重要性の高いデータには適用しにくい。SASはSATAとの互換性もあり、パフォーマンス、信頼性、拡張性、コストの4つの要件をすべて満たし、幅広い用途に使うことができる」と、アダプテックジャパン社長のラス・ジョンソン(Russ Johnson)氏は語った。
今回発表された製品は、ホストバスアダプタの「Adaptec 48300 SAS HBA」、RAIDアダプタの「Adaptec 4800SAS RAID Controller PCI-X」「Adaptec 4805SAS RAID Controller PCI-E」、そしてストレージ格納装置の「Adaptec Storage Enclosure 335SAS」、RAIDアダプタのソフトウェア・オプションである「Adaptec Data Protection Suite」、さらに外部ストレージ装置の「Adaptec SANbloc 5000f RAIDサブシステム」および「Adaptec SANbloc S50 JBOD」。
新製品はすべてオープン価格。Adaptec 48300 SAS HBAの実勢価格について、同社のマーケティング部プロダクト・マネージャ、高野亨氏は、「パフォーマンス容量ではパラレルSCSI製品の2倍ながら、実勢価格は1.5倍程度」と述べている。RAIDアダプタは最大512テラバイトまでのRAIDアレイを構成できる。Adaptec Data Protection SuiteではRAID-5EEやRAID-6、スナップショット・バックアップといった機能を提供する。
記者会見に同席した日本マックストア社長、内山洋一氏は、SASとSATAの互換性により、同一のストレージ・システムでこの2つを混在利用できるようになったのは、企業ユーザーにとって大きなメリットだと話した。「データの用途に応じて、SASとSATAのディスクを使い分けることで、コスト効率を上げられる」。日本マックストアでは、現在最大500Gバイトの容量を実現したSATAドライブの「MaxLine」、1万5000回転のSASドライブである「Atlas 15K II」、そして1万回転のSASドライブである「Atlas 10K V」と、3つの関連製品ファミリを展開しているが、Atlas 10K Vはサイズを2.5インチではなく3.5インチとすることで、コスト・パフォーマンス向上効果を高めているという。
内山氏は、2006年の全世界における企業向けディスク出荷台数の約2割がSAS対応製品になるとの見通しを明らかにした。
(@IT 三木泉)
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アダプテックの発表資料(一部)
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