組み込みソフトの開発期間短縮がテーマのET 2005

2005/11/17

 組み込み関連技術の総合展示会/カンファレンス、「Embedded Technology 2005」が11月16日に神奈川県のパシフィコ横浜で開幕した(18日まで)。出展346社と過去最大の規模で、主催者の日本システムハウス協会は2万2000人の来場者を見込んでいる。

 展示会では、ユビキタス・ネットワーキングの進展を反映して、家電では電力線通信、Wireless USB、DTCP-IPなど、ファクトリー・オートメーション(FA)ではZigBee、車載LANではFlexRayといった新しい通信技術に関連したソリューションの展示が目立つ。組み込みOSとしてのLinuxはいまや定着した感がある。また、短期間での組み込み製品開発ニーズに応えるため、プロセッサ内蔵のFPGA(プログラム可能なLSI)とソフトウェア・パッケージを組み合わせたソリューションが活発に提供されるようになってきた。

 アヴネットジャパンが11月16日に会場で発表した「Linux on MiniModule」も、こうしたFPGAによるソリューションの1つ。これは、PowerPC405とギガビット・イーサネットMACを統合したザイリンクスのFPGAである「Virtex-4FX12」を、フラッシュROM、SDRAM、イーサネットPHYなどどともに30mm×65.5mmのサイズに収めたネットワーク接続機器開発用評価ボードだ。

 この製品では、PowerPC405を使うために必要なデザインを同梱。さらに日新システムズとの提携により、同社が日本総代理店を務める米タイムシスの組み込みLinux開発支援サービス「LinuxLink」に4週間無償でアクセスできるライセンスが付属する。LinuxLinkではカーネル2.6をベースとした検証済みLinuxボード・サポート・パッケージ(BSP)が、バイナリおよびソースで提供される。これらにより、組み込みLinuxアプリケーションの開発を即座に始められるのが特徴という。

 同製品は12月に販売開始され、2006年3月までは19万8000円(税別)のキャンペーン価格で提供される。アヴネットジャパンでは、初年度に30件以上の新規デザインを見込んでいる。

 車載機器開発支援では、豊通エレクトロニクスが11月16日、「Virtual ECU Club」という新組織を発足したと発表した。これは、車載電子制御ユニット(ECU)のソフトウェア設計を実機レスで実現する開発環境を、自動車メーカーや電装品メーカーに提供することを目的としたもの。豊通エレクトロニクスが仮想開発環境製品やサービスを代理店として顧客に一括販売することが骨子となっている。新組織には、発足時点で米ヴァースト・システムズ・テクノロジーのシミュレータ「CoMET」「METeor」を販売するガイア・システム・ソリューション、シミュレータ「CRAMAS」を販売する富士通テン、そして開発支援サービス企業としてトヨタテクノサービスが参加している。

 豊通エレクトロニクスは2社の製品に関するライセンスを一括して販売するとともに、通常顧客が支払う初期費用(新規環境開発費)を内部償却し、顧客の負担を軽くすることを狙っている。

[関連リンク]
アヴネットジャパン
豊通エレクトロニクス

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