「どこでもIPv6」サービスをNTTコムが12月に提供開始
2005/11/22
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は11月21日、OCNのオプションサービス、「OCN IPv6」を2005年12月上旬に提供開始すると発表した。
「OCN IPv6」は、ユーザー認証に基づく動的なIPv6 over IPv4トンネリングサービス。ユーザーには固定と非固定のIPv6アドレスブロック(ルーティング・プレフィックス)がそれぞれ/64のサイズで1つずつ提供され、家庭内LAN上のIPv6機器に外出先からアクセスする、あるいは一時的に2つの家庭内LANをつなげるなどの使い方ができる。利用しているネットワークのルータ設定を変更する必要はまったくない。
新サービスの月額利用料金は300円(税抜き)。サービス提供対象は既存の個人向けOCNサービス利用者となっているが、コンテンツ会員である「バリュープラン」の利用者でも使うことができる。したがって、OCNのISPサービスを使っていないインターネットユーザーでも、バリューパック料金の250円とOCNIPv6料金の300円を合わせた月額550円を支払うだけで、どこでも2カ所からIPv6が利用できるようになる。
NTTコムでは、同サービスの提供開始と同時に、これを使うための接続プログラムを提供開始する。このプログラムでは、利用するルーティング・プレフィックスの固定/非固定の選択と、ルータ・モード/端末モードの選択を行った上で「接続」ボタンを押すだけで、使いたいときだけIPv6インターネットにつなげることができる。ルータ・モードでは、接続プログラムを動作させているPCがIPv6ルータとして機能し、受け取ったルーティング・プレフィックスを同一LAN上のほかの端末に伝える。従って、同一LAN上の端末はすべて、自分のIPv6アドレスを自動構成し、IPv6インターネットに接続できるようになる。端末モードの場合には、受け取ったルーティング・プレフィックスを自身のインターフェイスにのみ適用する。
NTTコムが提供する接続プログラムは、Windows XPのみに対応している。それ以外はサポート対象外だが、接続仕様は公開されるため、LinuxやUNIX上で接続プログラムを開発することが可能という。また、コレガなどのルータメーカーが、この仕様に対応したルータを開発中だという。
OCN IPv6に採用されているトンネリング技術について、NTTコムは現在のところ詳細を明らかにしていない。しかしUDPを使ってIPv6パケットをカプセル化する標準ベースの技術であり、マイクロソフトの次期OS、Windows Vistaにも搭載されるものだという。
コンシューマ&オフィス事業部 OCNサービス部担当課長、鈴木聡介氏 |
動的トンネリングを使ってIPv6接続サービスを提供することにした理由について、NTTコムのコンシューマ&オフィス事業部 OCNサービス部担当課長の鈴木聡介氏は、「ネットワークの末端までIPv6をネイティブで通すには、膨大な設備投資が必要になる。しかし、今回はトンネリングを使ったことにより、事業としてスモールスタートさせることができた。また、IPv6はどこでも使えることでメリットが生まれる。無線LANの公衆アクセスポイントや携帯電話などを経由した接続を実現するためには、トンネリングのほうが有利と判断した」と語った。
個人向けのIPv6接続サービスが普及するためには、家電などによるIPv6対応が進む必要がある。
新サービスの記者発表会では、パナソニックコミュニケーションズのIPv6対応カメラや、NTTコムが構築した実験的な宅内制御システムをデモしていた。しかし、現在のところ利用できる機器の選択肢が限定されているのも事実。NTTコムでは、IPv6接続サービスが気軽にどこでも使える環境を提供することにより、「にわとりが先か卵が先か」の状況を打破し、機器メーカーのIPv6対応を促したいという。また、IPv6が優先プロトコルになるとされるWindows Vistaの登場にも期待しているという。
(@IT 三木泉)
[関連リンク]
NTTコミュニケーションズの発表資料
NTT IPv6説明ページ
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