x86アーキテクチャで100TFLOPSのグリッドを構築 ― 東工大
2005/11/30
東京工業大学(東工大)の学術国際情報センター(GSIC)は、主にx86アーキテクチャのコンピュータによるグリッドで構成されたスーパーコンピューティング環境を構築、2006年3月には100TFLOPS超を達成する予定と発表した。この演算能力は、日本だけでなくアジアで最高であり、2006年6月には世界トップ5位以内に位置づけられると期待されるという。
GSICの酒井善則センター長(左)と松岡聡教授(右) |
GSICでは2006年以降のスーパーコンピューティング・システムについて入札を実施、NECをプライム・コントラクターとして、同社の提案によるシステムを導入することを決定した。
新システムは、AMDの64ビットCPU「Opteron」を搭載したサン・マイクロシステムズの「Sun Fire」シリーズサーバ655台で構成されている。これだけでは50TFLOPSだが、うち360台に米クリアスピード・テクノロジーのコプロセッサ、「ClearSpeed CSX600」を搭載して演算性能をアップさせ、現在85TFLOPSを達成している。同センターでは追加調達でベクトル・コンピュータ(SX-8)を導入するとともに、ClearSpeedコプロセッサの数を増やす予定で、これらにより100TFLOPSを超えることができるという。
導入されるSun Fireは「まだ名前のつけられていない機種」(サンのダン・ミラー(Dan Miller)社長)。それぞれがCPUを16個搭載しているため、グリッド全体でのCPU数は1万480個になる。655台のうち639台はCPUクロックが2.4GHzで搭載メモリが1台当たり32Gバイト。残りの16台は同じく2.6GHzで64Gバイトとなっている。
これらのコンピュータは米ヴォルテイアのInfinibandスイッチ「ISR 9288」6台で1.1Pバイトのストレージと接続されている。各ノードには10Gbps、ストレージ機器には200Gbpsの帯域幅が提供されている。
GSICでは、このスーパーコンピューティング環境を今後も継続的に拡張していき、2008年には200TFLOPS、そして2010年にはPFLOPSを達成したいとしている。
x86アーキテクチャを今回の調達とした最大の理由として、GSICの松岡聡教授はソフトウェアの汎用性を挙げる。「x86では、ソフト、ハードを含めたエコシステムができている。東工大では研究室に入った時点で誰でもがスーパーコンピューティング環境を使えるみんなの『スパコン』を目指しており、幅広いアプリケーションが活用できることで、スパコン活用の裾野を広げることができる」と語った。
OSには現在のところSUSE Enterprise Linuxを利用している。これは、GSICが過去3年半にわたってLinuxクラスタを構築・運用してきたことが主な理由だという。しかし、一部でSolarisやWindowsを利用することも検討している。
Sun Fireを採用した理由は、一般的なx86マシンでは手に入らない広大なメモリ空間にあるとしている。
(@IT 三木泉)
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