「IMSは次世代ネットワークの目玉」、NTT
2005/12/21
NTT取締役第二部門長の橋本信氏は12月19日、同社の次世代ネットワークの概要について講演した。橋本氏は、同社における次世代ネットワーク構築の責任者。19日に開幕したNTTグループのイベント、「NTTグループコミュニケーションExpo」におけるセミナーで語った。
NTTグループは11月9日、中期経営戦略に沿った次世代ネットワーク構築のロードマップを発表した。橋本氏はこれに基づき、「アクセスパイプが今後光1本になっていく以上、ネットワーク側もオールIP化し、パケットの連続で通信を提供していく」と基本コンセプトを披露した。
NTTは自社ネットワークの完全なIP化を実現するとともに、水平的なレイヤで各種機能を組み立てる構造に移行する。上位レイヤにおける機能追加や代替による新たなアプリケーション・サービスの構築を容易にするとともに、各レイヤでインターフェイスを定義し、ほかのキャリアやISP、アプリケーション開発者との円滑な連携を目指す。
NTTネットワークのエッジノード間は、アプリケーションごとの優先制御やリソース割り当てを実施。ユーザーとエッジノードの間では、ユーザーごと、アプリケーションごとのリソース割り当てや流量制御を実施する。映像と通信の融合に関しては、ハイビジョン画質の映像ストリームを10Mbps程度で送信できる画像圧縮技術の実現を目指す一方、1世帯当たり約30Mbpsの帯域を確保できるようなインフラを整備していく。電話も当然IP上に載るが、「IP電話を単に経済性で使うだけでなく、安定性も担保できなければならない」と橋本氏は話した。
IP化されたバックボーン上でレイヤ構造を採用すれば、アクセス網の技術に依存しないサービスが実現できる。つまり、移動体通信と固定通信の融合(FMC)が自然に実現されることになる。
橋本氏は、「IMSは標準装備だ。次世代ネットワークの目玉になる」と語った。IMS(IP Multimedia Subsystem)とは、3GPP/3GPP2が第3世代携帯電話の規格として推進してきたIPベースのマルチメディア通信仕様。これをあらゆる通信に適用することで、家電機器のネットワーク化など、今後普及が見込まれる新たな通信端末やアプリケーションにも対応していくという。
次世代ネットワークの構築は2007年度に開始されるが、NTTはこれに先立ち、2006年下期にフィールドトライアルを実施する。この実験では、インターネットアクセス、エンド・ツー・エンドの品質制御、IP電話、IPマルチキャスト、不正アクセス防止などのセキュリティ、FMC、法人ソリューションなどをテーマとし、関連事業者の参加を得て検証をしたいと橋本氏は語った。
(@IT 三木泉)
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