「宇宙オープンラボに投資求む」、JAXA
2006/1/19
民間の一般技術を宇宙事業に生かす試みが広げられようとしている。その背景にあるのは、日本の宇宙開発予算の減少による宇宙産業の危機的状況だ。宇宙航空研究開発機構(JAXA) 産学官連携部 連携推進グループ長 三輪田真氏は1月17日、 JAXA主催のイベントで「宇宙オープンラボ」の概要、実施プロジェクトへの投資の募集について説明し、民間の企業や研究者、投資家の宇宙分野への参画を募った。投資家登録の受付を同日から開始した。
イベントの名称は「JAXA産学官連携シンポジウム『宇宙ビジネスの未来、新たな提言』」。宇宙オープンラボは、宇宙分野に応用できる技術の研究、宇宙をテーマとしたビジネスの提案の場を提供する制度だ。JAXAの求める技術課題の解決策や宇宙ビジネスに関して提案のある研究者、事業者がチームを結成し、事業申請を行う。必要に応じてJAXAの専門家が技術面などでの支援を実施。採択された提案には最大年間3000万円、最長3年資金が提供され、JAXAと共同で研究が行われる。
左からJAXA 産学官連携部 連携推進グループ長 三輪田真氏、JAXA 宇宙飛行士 若田光一氏 |
提案への投資の募集について、三輪田氏は「オープンラボを開始して2年足らずで24テーマを採択した。約3年の研究期間の後はどうするかを考え、プロセスの改良を試みている。新しく投資家に参画してもらい、ビジネス化の場を提供する。同時に研究者が投資家に研究成果を発表し、ビジネスの観点からのアドバイスをやりとりする場にもしたい」と語る。ゲストとして登壇したJAXA 宇宙飛行士の若田光一氏は「画期的な試み。米国でも民間で研究を行う場合、投資家を探すのは大変」とコメントした。
2005年度に採択されたテーマとして、松下電工によるLED照明の宇宙船への応用、照明光による宇宙ステーションでの生体リズムサポート、サカセアドテックの宇宙インフレータブル(収納状態からの膨張硬化)構造に関する研究などを紹介。若田氏は「(2005年7月から8月の)野口聡一・宇宙飛行士の船外活動の撮影には、スチルも動画もほとんど日本の技術が使われた。皆さんは気付いていないが、現在の技術にはそのまま宇宙に適用できるものが多い。いろいろな技術を宇宙での利用に近づけていただければ」と語った。
同イベントにはライブドア 代表取締役社長兼最高経営責任者 堀江貴文氏もディスカッションのモデレータとして登壇予定だったが、証券取引法違反容疑によるライブドアの家宅捜索を受け、欠席した。
(@IT 長谷川玲奈)
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