イノベーションで顧客と共振したい、日本IBM

2006/2/3

 日本IBMの大歳卓麻代表取締役社長は2月2日、2006年の戦略に関するプレス説明会で、顧客のイノベーションを支援することが、今後3年間における日本IBMの最大のテーマだと語った。

 大歳氏は、「世界は急速にフラット化している」と述べた。BRICsの台頭でも明らかなように、ビジネスでは世界的に、市場や競争相手、ルールが大きく変化しているという。IBM戦略コンサルティンググループが調査した結果によると、業種や地域を問わず、売り上げ成長率の上下格差が拡大しており、大きく事業を成長させるチャンスも増加しているという。一方、「過去10年間に地位が向上した企業でも、4年間はマイナス成長であるケースが多い。企業としての復元力がカギだ」という認識を示した。

日本IBMの代表取締役社長、大歳卓麻氏

 そのうえで、同氏は日本IBMの中期計画、「Challenge 2008」を説明。この戦略では、顧客がイノベーションによって成功するための、最も信頼されるパートナーとなることを目標としている。

 この目標を達成するための施策としては、顧客やパートナーの新規開拓、BTO(業務の変革・請負)をはじめとした高付加価値ビジネスへの注力、x86サーバなどの量販ビジネスの効率化、IBM自体のグローバルなベストプラクティスの活用、グローバルに活躍する人材の育成、を挙げた。

 具体的な施策例の1つは、すでに実施されたサービス関連事業組織の改編。「各技術分野に関して力を持つことが、いいサービスを安く提供することにつながる」(大歳氏)とし、知識優位性を中心として組織の見直しを実施したという。

 さらに同社は2月2日付けで、R&Dイノベーション事業部とエレクトロニクス・イノベーション・センターを新設した。

 約20人で構成されるR&Dイノベーション事業部は、主に製造業の企業を対象として、研究開発や製造に関するイノベーションを支援する専任営業部門。家電製品や医療機器、産業機器へのITの取り込みが進みつつあることに着目し、組み込み製品の開発支援・請負、IT関連ノウハウ提供などを行う。

 また、東京基礎研究所内に新設されたエレクトロニクス・イノベーション・センターでは、エレクトロニクス分野における日本IBMの知識を生かし、他社との協業を進めていく。すでに、松下電器、サムスン、三洋電機のそれぞれと、技術交換やソリューション開発を実施しているという。

 「Challenge 2008」の中核は「日本IBM自身のイノベーションが顧客とかみ合うようにする」ことだと大歳氏は話し、同社のマネジメント・チームは今後3年間、これを実現することにコミットしていくとした。

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