全データを集中化せよ、マクデータの新ソリューション

2006/3/31

 マクデータ・ジャパンは3月30日、米国本社が3月13日に発表したリモートオフィスソリューション「ROC」を国内発表した。

 ROCは、「Remote Office Consolidation」の略。企業や組織の遠隔拠点に散在するデータを本社のストレージに統合し、管理やセキュリティの改善につなげるための製品群とサービスを示している。

 ROCを象徴するのはWAN経由のデータアクセスを高速化する「SpectraNet WAN Data Services Accelerator」(WDS Accelerator)とMicrosoft Exchangeのデータ複製を実現する「SpectraNet Replicator for Exchange」(SRE)。これに同社のストレージファブリック製品や回線導入・管理サービス、プロフェッショナルサービスを組み合わせて、トータル・ソリューションとして提供する。

WDS Acceleratorは3種類のモデルで構成される

 WDS Acceleratorは、米リバーベッド・テクノロジーが開発した「Steelhead」のOEMによるアプライアンス製品。WAN経由でのサーバへのアクセスを高速化することを目的としたものに「WAFS」(Wide Area File Services)と呼ばれるジャンルの製品群がある。これらは、ファイルサービス(と一部の電子メールデータ)を対象とし、一度アクセスされたデータをローカルにキャッシュすることで、次回からのアクセスを高速化するのが基本的な仕組み。しかしWDS Acceleratorでは、TCPの最適化やリクエストするデータ量の削減を通じて、幅広いアプリケーションのWANパフォーマンスを向上できることが大きな特徴となっている。

 「WAFSは、ファイルサービスだけにとどまっていた。これからはアプリケーション全般のパフォーマンス向上が重要。これによってストレージ統合がしやすくなる」とマクデータ・ジャパンの代表取締役社長 石本龍太郎氏は話す。

 一方、SREは米ファルコンストアの「IPStor」のOEM提供によるデータ複製製品。ファイバーチャネルとイーサネットのネットワークインターフェイスを備えたアプライアンスだが、同じくファイバーチャネルやIPで接続された別個のストレージを活用、これにMicrosoft Exchange Serverのデータをリアルタイムでミラーリングやバックアップすることができる。

 Exchange Serverの場合、支店レベルでサーバ(MTA)を分散配置して利用していることが多い。ROCでは、こうした分散サーバをまず中央拠点に統合することを提唱する。その際にWAN経由のアクセスパフォーマンスの低下を防ぐのはWDS Acceleratorの役割だ。さらにSREでは、集中化したExchange Serverの可用性やメンテナンス性を向上する役割を果たす。

 こうしてROCでは、リモートオフィスにおけるテープバックアップの廃止、ストレージの統合、サーバの統合、障害対応能力向上のための複製というように段階的なITリソースの集中化を実現することで、分散配置された冗長的なITリソースの調達や管理に伴うコストを削減し、さらにセキュリティを向上し、コンプライアンスを図ることができるとしている。

 プロフェッショナルサービスは、企業のストレージ利用の現状を診断し、ROCソリューションの設計や必要なWAN帯域幅の算定、機器の導入やサーバ・データの移行などに関する支援を提供する。石本氏は、現在コンサルタントのリクルーティングを積極的に行っている最中であり、5月には一定のスタッフを確保し、できるだけ早く開始したいと話した。ディストリビュータのリソースも生かしながら、協業して同サービスを提供していくという。

 回線導入・管理サービスについては、「回線リセールをすでに実施しているディストリビュータがいるため、こうしたところを通じて提供していく」と石本氏は話している。

(@IT 三木泉)

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