CCMの普及で支払い明細書がマーケティングツールに?

2006/6/13

 顧客コミュニケーション管理(CCM:Customer Communication Management)のソリューションベンダであるグループワン ソフトウェアは6月12日、同社日本法人の代表取締役社長に川島伴人氏が就任したと発表した。合わせてCCMソフトウェア製品の最新バージョン「DOC1 v5.3」の販売を開始し、日本におけるCCM市場を開拓する。

米グループワン ソフトウェア エグゼクティブ・バイスプレジデント 国際事業本部担当 エリザベス・ワルター氏
 米グループワン ソフトウェアは、米メリーランド州ラナムに本拠を置く企業で、データ統合やCRM、BIなどの分野の製品を手掛けるソフトウェアベンダ。2004年7月に文書管理ソリューション大手である米ピツニーボウズに買収され、100%子会社となった。米グループワン ソフトウェア エグゼクティブ・バイスプレジデント 国際事業本部担当 エリザベス・ワルター(Elizabeth Walter)氏は、「米国本社と同様に、日本のグループワン ソフトウェアもハードウェアからソフトウェアへコアビジネスを移行する。特に当社の主力製品であるDOC1を日本語対応させたことで、日本のCCM市場を開拓していってもらいたい」と語った。

 新製品の「DOC1 v5.3」は、基幹システムやCRMなどから収集したデータをWebサイトや印刷機に出力するソフトウェア。特徴は、電話会社やクレジットカード会社から送られてくる明細書のような印刷物とまったく同じデザインをWebサイト上でも実現している点と、PDFよりも優れた保存用データの圧縮率にあるという。印刷物と同じデザインをWeb上で実現したため、「印刷物を見ながらサポートに電話してきた顧客に対して、サポート要員が同じ画面を見ながらサポートを行えるほか、Webサイト上で明細を表示している場合にはよりリッチな画面を表示できるようになる」(川島氏)といったメリットがあるとした。

新たにグループワン ソフトウェア日本法人の代表取締役社長に就任した川島伴人氏
 米国ではすでに多くの企業がこのシステムを用いて印刷物のデザインを構築。CRMなどと連携することにより、顧客ごとに異なったマーケティング情報を明細情報と一緒に印刷して提供しているという。例えば、クレジットカードの明細の場合、店舗Aでそのクレジットカードを利用した顧客だけに、その店舗の特別割引イベント情報を送るといったケースなどがあるという。また、旅館の支払い欄の隣に「ご利用ありがとうございました。10月の紅葉は見ものですので、ぜひお待ちしております」と印刷するなど、店舗側の要望にも応えることができる。主なターゲットは、通信事業や金融業者、官公庁など。

 新たに日本法人社長に就任した川島氏は新製品の投入などを受けて、「売り上げを現在の5億円から、5年後には25億円まで増やしたい」との目標を挙げた。また、新規パートナーの拡大(現在の10社から5年後には20社へ)や、携帯電話への表示技術を持ったベンダや日本版SOX法への対応技術を持った売り上げ10億円規模の企業のM&Aも視野に入れているという。川島氏は、「現在は米国主体の開発だが、日本発の製品や機能を作り、アジアへ拡販していきたい。厳しい目標設定が待っているが、新たにCCM市場を開拓していく」と意気込みを述べた。

(@IT 大津心)

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