EMCがRSAセキュリティを買収する目的は?

2006/7/1

米EMC 社長兼CEO ジョセフ・トゥッチ氏(2004年12月のOracle Open Worldで)

 米EMCは米国時間6月29日、米RSAセキュリティを現金で買収することで両社が基本的に合意したことを発表した。

 EMCはRSA株を1株28ドルで購入、買収額は約21億ドル弱となる。買収手続きは2006年第3四半期末あるいは第4四半期初めに完了の予定。発表では、これによりRSAセキュリティはEMCの情報セキュリティ部門となり、RSAセキュリティの社長兼CEOであるアート・コビエロ(Art Coviello)氏はEMCの上席副社長兼情報セキュリティ部門プレジデントに就任するとされている。

 米国時間6月29日17時半よりEMCが実施したカンファレンスコールで、EMCの会長、社長兼CEOであるジョセフ・トゥッチ(Joseph Tucci)氏はこの買収の目的を、「情報ストレージと情報保護、情報セキュリティ、そして情報インフラの制御・連携をシームレスに統合する企業が、テクノロジ市場における圧倒的な勝者になる」と表現した。

 ストレージベンダとして知られてきたEMCは、この数年積極的な買収を通じ、事業の多角化を図ってきた。「当社は、ストレージ企業から、情報管理企業、そして情報インフラ企業へと進化してきた」(トゥッチ氏)

 EMCは今後数年にわたる目標として、ストレージ事業の売り上げを2けた成長させるとともに、5つの新たな事業分野でそれぞれ10億ドルの売り上げを達成し、合わせて10%台半ばの成長率を維持することを掲げている。

 5つの新たな事業分野とは、VMware、コンテンツ管理(Documentumなど)、リソース管理(Smarts、ControlCenterなど)、ストレージ仮想化(Invista、Rainfinity)、そして情報セキュリティ。RSAは情報セキュリティの分野を担当することになる。

 「2007年度、当社はRSAを中心として、この分野を約5億ドルの売り上げでスタートすることができる。RSAは単独でも年率20%以上成長しており、当社との相乗効果によってそれ以上の伸びが期待できる」(トゥッチ氏)

 これまでセキュリティはネットワークの切り口から語られることが多かったが、EMCでは情報自体をライフサイクル全体にわたって保護することを目指しており、そのためにRSAの持つ認証、ID管理、暗号化といった技術が貢献するとしている。

(@IT 三木泉)

[関連リンク]
米EMCの発表資料(英語)

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