「必ず残る人のプロセスをPDFで効率化」、アドビのリーVP
2006/7/11
米アドビ システムズのバーティカル&ソリューションマーケティング担当 バイスプレジデント ユージーン・リー(Eugene Lee)氏はインタビューに応じ、マクロメディアとの統合後の業種別の取り組みについて「日本ではすでに政府・官公庁向けが成功している。今後は金融サービス、製造業向けを強化したい」と話した。リー氏はマクロメディアを買収したことで「72製品を扱うことができるようになった」とラインアップの拡大を説明。「これでエンタープライズに本格的に取り組むことができる」と強調した。
米アドビ システムズのバーティカル&ソリューションマーケティング担当 バイスプレジデント ユージーン・リー氏 |
リー氏は業種別ソリューションの進め方を「業種ごとの課題をとらえて、その課題を解決できる技術を考える。そのうえでアドビの製品、ソリューションでできることを提案する」と説明した。同氏が業種別ソリューションでポイントになると考えているのが、人の問題だ。
例えば金融サービスではインターネットバンキングなどITシステムの導入が急速に進んでいる。銀行内の業務プロセスのIT化も目覚しい。しかし、対顧客、対従業員の1つ1つのプロセスで人の問題がかかわる。特に対顧客では、銀行は顧客満足の向上を目指す小売業化しているとリー氏は指摘する。「競争の激しい金融サービスではカスタマサービスを良くしないと競争に勝てない」。
製造でも高度にIT化を進めた結果、人の問題が残った。製造業の企業はカンバン方式やサプライチェーンの整備、自動化などで、最もコストがかかる人をできるだけ効率的に動かすことに長く注力してきた。国外への製造のアウトソーシングも積極的に進めた。「製造業のこれまでのIT投資のほとんどは、人に関係がないところだ」(同氏)。その結果、「製造業では設計とマーケティング、アフターケアしか違いが出なくなった」。
しかし、この設計とマーケティング、アフターケアこそが「人のコラボレーションが重要になる業務だ」とリー氏は見る。「製造業界は過去5年間に500億ドルを投資し、製造と設計のコストを大幅に削減した。しかし、コラボレーションの50%は依然としてITシステム外で行われ、業務プロセス処理とセキュリティ管理の60%は手作業だ」という。
IT化による自動化を極限まで進めて人を排除しても、必ず残る人のプロセス。アドビが得意とするのは、この人がかかわるプロセスの効率化や高信頼化だ。金融サービスならローンや口座開設、カスタマサポートなど顧客と銀行の業務プロセスがつながるポイントを改善する。製造ではCADを使った複数メンバー、チームでの設計や、メンテナンスなど人を中心としたプロセスの合理化を働きかける。
アドビは紙文書をやりとりする従来の人のプロセスを残しながらも、バックエンドでは業務アプリケーションと連携し、プロセスのIT化を進めることができるPDFのサーバソリューションを中心に、業種ごとのソリューションを開発し、提案する考え。リー氏は「人がどうしてもかかわる部門の効率化を支援することに注力する」と、日本での展開を説明した。
(@IT 垣内郁栄)
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